那須町、除染土を町有地に集約 2024年度以降に搬出開始

 東京電力福島第1原発事故後の除染作業で出た放射性物質を含む「除染土」の処理を巡り、那須町は22日、民家などに現場保管している除染土と枝木や落ち葉などの除染廃棄物計約8万5千立方メートルを同町大島の町有地に集約して町が直接管理することに決定したと発表した。2024年度以降に集約地への搬出を開始する。環境省の汚染状況重点調査地域に指定されている県内7市町のうち、除染土に関して具体的な集約の方針を示したのは初めて。

 町によると、除染作業で出た町内の土と廃棄物は民家や公共施設など約9600カ所で保管され、総量は県内最多。町は昨年9~11月に地中に埋めた除染土143カ所の放射線量を測定したところ、除染前の11年の平均毎時0.28マイクロシーベルトから0.12マイクロシーベルトに低減。さらに全体の97.2%が除染の目安となる0.23マイクロシーベルト未満だったことから集約が可能と判断した。

 その後、集約に必要な面積を約8ヘクタールと算出し、集約候補地に挙げた町有地や民有地29カ所を安全性や搬入の効率性、コストなど7項目を点数化した上で評価し、最終的に大島の町有地を抽出。今月20日に環境省職員も出席した上で地元自治会を対象とした住民説明会を開いて理解を求めた。

 今後は関係機関との調整を経て、早ければ24年度から現地調査、測量、設計を行い、住宅などからの搬出を始める予定。これまで同様、遮水シートで覆った上で土は地中に埋め立て、廃棄物は地上で保管する方針。集約後の管理は町が行い、費用は国が負担する。

 環境省によると、県内の汚染状況重点調査地域の鹿沼、日光、大田原、矢板、那須塩原、塩谷、那須の7市町には、昨年3月現在で除染土計約11万1千立方メートル、除染廃棄物計約7万1千立方メートルがあり、ほとんどが現場保管の状況にある。

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