弘大医学部OB荒さん、母校に1億1千万円寄付 「自分がなせなかったこと、若い人に」

福田学長(右から2人目)から感謝状を受け取った荒さん(中)

 弘前大学医学部卒業生の荒隆一さん(78)=東京都在住=が、1億1千万円を同大に寄付した。同大は寄付金を原資に、大学院医学研究科の教員や学生の海外留学などを支援する「荒国際交流基金」を立ち上げ、本年度から本格運用する。23日、同大で福田眞作学長が荒さんに感謝状を手渡した。

 荒さんは福島県出身。1964(昭和39)年、同大に入学した。「研究者として弘前に骨をうずめたい」と考えながらも、卒業する頃は大学紛争が激しく、やむを得ず弘前を離れた。腎臓外科、泌尿器科の医師として長年働き、85(同60)年に都内で医院を開業。2020年に引退した。

 感謝状を受け取った荒さんは「もっと弘前で研究をしたかったという心残りがあった。自分が弘前でなすことができなかったことを、これからの若い人に受け継いでもらえたら」と話した。

 福田学長は「健康、食、被ばく医療などで強みを持った大学だが、国際化では遅れがあった。今後、学生や教員が海外で多くのことを学んでくることを期待する」と感謝を述べた。

 寄付は21年12月21日付。新型コロナウイルスの影響で、これまで基金を活用した留学希望者の募集などを見合わせていたが既に2人の教員が米国に留学中で、この秋、新たに1人の教員が英国に渡る予定。今後、外国人研究者を受け入れ奨学金を支給する事業にも取り組む。

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