ヘビの一種で、福井県内では生息確認が少なく「幻のヘビ」とも言われるシロマダラの目撃情報が、福井市自然史博物館に寄せられている。新聞報道されたところ、せきを切ったように一般市民から続々と報告されたという。「幻」の背景には、その生息環境の特性が関わっていたようだ。
シロマダラは、茶色と黒のまだら模様が特徴のナミヘビ科の仲間。全長は最大70センチほどで毒はない。福井県のレッドデータブック(RDB)では、確認数が少なく絶滅の恐れを評価できない「要注目」に分類される。
5月3、4日、鯖江市河和田町でシロマダラが2匹、相次ぎ発見された。男性(69)が、いずれも自宅裏の山の畑で除草シートをめくったところ見つかった。「ここ数年、春先にたまに見かけるようになった。毒ヘビかと思って調べたら、希少なヘビらしくて」と男性。2匹を虫かごに入れ観察した後、山に返した。
福井市自然史博物館によると、2匹はシロマダラで間違いなく、県のRDBではこれまで鯖江市での生息記録はなかった。
一方、学芸員の出口翔大さん(33)はこうも話した。「幻のヘビと言われがちだが案外、生息している様子がつかめてきた」
聞けば昨年6月、福井市の足羽山で長らく見つかっていなかったシロマダラが発見されたという福井新聞報道がきっかけとなり、それまでほとんどなかったという目撃情報が、県内各地から11件寄せられた。
出口さんは「山の麓の家の中や、石垣の間にいたなどの情報があった。福井の里山里地には案外多く生息しているが、専門家が調査に入れない私有地の場合や、夜行性で見つかりにくいケースがあり、結果として幻のヘビになっているのではないか」と分析する。
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シロマダラの生息調査には専門家の実地調査よりも、一般市民に情報を募る「市民調査」が効果的と考えられるといい、出口さんは「実態把握に向け、情報を寄せてほしい」と話していた。情報提供は同博物館=電話0776-35-2844。