「著者との信頼関係重要」岩波書店・坂本社長(青森県八戸市出身)が講演

人文書編集者の苦労や醍醐味(だいごみ)について語る坂本社長

 東奥日報社は24日、青森県出身の経済関係者や学識者を会員とする「東京経済交流会」を東京・千代田区で開いた。八戸市出身で岩波書店社長を務める坂本政謙(まさのり)さん(58)が、人文書の編集や編集者について講演。「著者に締め切りを守らせたり、原稿にダメ出しをしたりと、細かいやりとりの中で築いた信頼関係が重要」と語った。

 坂本さんは石油会社勤務を経て1990年に岩波書店に入社。2021年に社長に就任した。

 坂本さんは、企画・立案から、著者との折衝、社内会議を経て本ができるまで「売れるように努力するのが編集者の仕事」と紹介。社内会議では、スムーズに通る企画よりメンバー間で議論を巻き起こす企画の方が結果的に面白くなるとし、編集者にとっても議論の過程が糧になるとした。

 自身が編集局の部長として企画の可否を判断した際は「社会的な意味・価値・インパクト」「実現性」「採算」のトライアングルを重視。「最終的には、どれだけその企画をやりたいか、編集者の熱意にかかっている」と強調した。

 交流会は20年2月以来、3年3カ月ぶりに開催。会員約40人が出席した。

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