埼玉に“浜辺”出現、JR宇都宮線沿いに突然 今後人気集めそうな新スポット誕生、タイムスリップで人々驚き

現地見学会で縄文時代の風景をARで見る参加者

 埼玉県蓮田市黒浜の国指定史跡「黒浜貝塚」。8年にわたる整備事業が完了し、縄文時代の自然や暮らしを体験できる新たな空間が誕生した。市街地、JR宇都宮線沿いに突如、現れた縄文の世界。古代の暮らしぶりを拡張現実(AR)や仮想現実(VR)で分かりやすく解説するなど工夫を凝らしている。新しい魅力スポットとして人気を集めそうだ。史跡黒浜貝塚の見学、文化財展示館の入館はいずれも無料。

■時空重なる世界観

 黒浜貝塚は縄文時代前期、今から約5千~7千年前の集落遺跡。当時地球全体が暖かく、海水が内陸深くまで入り込んでいた。蓮田市内には黒浜貝塚や関山貝塚など19カ所の貝塚が残され、周辺は海岸線に面していたとされる。

 これまでの発掘調査で、黒浜貝塚からは、ハイガイやマガキ、ハマグリ、ヤマトシジミなどの貝類やスズキなどの魚類、イノシシの骨、飼育されていたイヌの埋葬骨が見つかっている。今回の整備事業では当時の植生を生かしながら、敷地の一部に浜辺を再現した。

■工夫凝らした学び

 市は縄文から続く自然環境を生かしながら、ARやVRを駆使し黒浜貝塚を解説。スマートフォンやタブレットを通じて、縄文時代の自然や暮らしを目の前で体感できる工夫を凝らしている。

 現地見学会では、参加者が自身のスマートフォンにアプリをダウンロード。画面上に縄文の住居や貝塚、縄文人が現れると驚きの声を上げていた。アプリ内の「竪穴式住居建築ゲーム」や「黒浜貝塚クイズ」で、当時の文化を学ぶこともできる。

 隣接する文化財展示館では黒浜式土器や出土品などを展示。VRを通じて縄文の世界を体験することが可能だ。

 手軽に楽しく縄文の歴史に触れることができる史跡。市社会教育課は「海があった頃の蓮田の様子を感じることができる場所となっている。ぜひ一度足を運んでほしい」と呼びかけている。

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