温泉でゆったり産後ケア 県内初 上市町が独自事業、施設に助産師派遣

助産師(手前左)の面談を受ける氷見さん(右)。穂波ちゃんを抱いているのは理学療法士

 出産して間もない母親に温泉で子育ての疲れを癒やしてもらう富山県上市町独自の産後ケア事業が25日、同町湯上野の温泉宿泊施設「つるぎ恋月」でスタートした。民間の温泉宿泊施設でリラックスして、かみいち総合病院から派遣された助産師ら専門スタッフのケアを受けられる県内初の試み。「想像以上に良かった。体も心もすっきりして、子育てをもっと頑張れそう」と利用者に好評だった。

 上市町は出産5カ月未満の母子向けに、かみいち総合病院で「デイサービス型」の産後ケアを行ってきた。本年度からこの対象を1年以内に拡大。さらに、デイサービス型に加え、利用者宅と温泉宿泊施設にそれぞれ病院の助産師らを派遣するタイプの産後ケアもスタートした。温泉宿泊施設はつるぎ恋月と湯神子温泉の2施設で行う。

 この日は氷見綾香さん(29)が長女で8カ月の穂波ちゃんを連れて、つるぎ恋月を訪れた。助産師との面談後、穂波ちゃんを預けて温泉へ。理学療法士のマッサージを受けて疲れを癒やした。つるぎ恋月自慢の昼食も味わい、骨盤ケアの指導も受けた。

 氷見さんは「3時間も1人でゆっくりできる機会はほとんどない。ぜいたくな時間だった」と言い、「子どもが愛らしいという思いも改めて確認できた。1~2カ月に1度はこんな機会があればいい」と語った。

 ケア事業の内容は利用者の希望に応じる。利用者負担は1回3千円。温泉宿泊施設の日帰りプランなどとの差額は町が負担する。

 産後ケアは育児の不安を解消したり、心身の疲労を回復させるために重要となる。同病院が昨年、産婦人科の分娩業務を休止したことを受け、町がこの産後ケアに力を入れている。

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