県高校総体前特集 バレーボール女子(3) 新たな歴史をつくる覚悟を示す大分西 【大分県】

バレーボールの県高校総体が6月3日から始まる。女子は23連覇を目指す東九州龍谷(東龍)が優勝候補の筆頭であることに変わりはない。盤石の王者に立ち向かうのが「全九州総合選手権(九総)」で3位となった大分商業、この1、2年で急速に力を付けた大分西となる。県高校総体を前に3校の戦力を探る。

第3回は初出場した九総で、高いレベルで戦える手応えをつかんだ大分西を紹介する。

この1、2年で大きく力を付けた大分西が、東龍を頂点に大分商業、国東、臼杵が続く「1+3強」の構図を塗り替えた。2月の県高校新人大会では準々決勝で敗退したが、続く九総県予選では、国東、臼杵に勝利し、九総の出場権を手にした。九総でも九州の強豪校相手に互角の試合を展開し、キャプテンの浅井和佳(3年)は「高いレベルでバレーを楽しみたいという、いい意味での欲が出た」とチーム内に流れる変化を感じている。

チームの「自由な発想で楽しもう」とする姿勢や、県内で勝てる自信が付いたこと、九総で悔しい負けを経験したことで3年生の意識が高くなり、2年生の自覚、自主性が芽生えた。特にサーブのコースや球のスピードなどで、それぞれの選手が自分の特長に合った打ち方を研究した。守備においても、外部コーチの指導の下、ブロックとレシーブの連携が精査され、崩れ出すと止まらなかった悪循環を徐々に改善できている。

九総に出場し、勢いは増した

個人に目を向けると、3年生の仕上がりがいい。エースの浅井はスパイクのキレが増し、決定率が向上した。けがから復帰したセッターの神田詩歩は、外からチームを見ていたことでトスワークに変化が出た。「これまでは並行トスが多かったが、オープントスの方が打ちやすい選手もいることが分かった。相手のブロックを見ながら使い分けたい」と視野が広がった。クレバーなミドルブロッカーの伊藤結乃はチームに活気を与え、リベロの大谷彩綾は安定感をもたらす。

3年生のほとんどが県高校総体を終えると部活を引退する。浅井は「このチームで少しでも長く一緒にプレーしたい。そのためには九州大会に出場するしかない」と強い思いを口にする。エースの浅井には厳しいマークが集中することが予想される。2年生らも、自分たちが活躍すれば上位チームを脅かす存在になることは心得ている。チーム一丸で下克上を目指す大分西をダークホースとして注目したい。

チームに一体感が漂う

(柚野真也)

© オー!エス! OITA SPORTS