少年事件記録、国立公文書館移管へ 岸田首相が「最高裁と連携」と答弁 参院予算委

自民党の加田裕之議員(右手前)の質問に答弁する岸田文雄首相=26日午後、国会

 1997年の神戸連続児童殺傷事件をはじめ、各地で重大少年事件記録が廃棄されていた問題で、岸田文雄首相は26日に開かれた参院予算委員会で、永久保存を決めた少年事件記録などの国立公文書館への移管を検討するとした最高裁の方針について「政府として最高裁と連携し、必要な対応を進めたい」と述べた。

 最高裁は25日に公表した調査報告書で、適切な事件記録の保存に向けて、裁判所職員が「歴史的、社会的な意義を有する国民共有の財産」と認識することが重要と指摘。その上で今後、内規にこのような趣旨の理念規定を新たに設け、民事、家事、少年という事件種別を問わず国立公文書館へ移管していく方針を挙げた。

 国立公文書館に移管する対象は、現在は民事訴訟の記録に限られ、少年事件は対象となっていない。最高裁は問題を受け、特別保存(永久保存)とした少年事件なども国との申し合わせで移管の対象に入れ、速やかな移管を目指す。

 岸田首相は26日、自民党の加田裕之議員(兵庫選挙区)から、最高裁の調査報告書の受け止めや見解を問われた。岸田首相は、廃棄の責任を認めた最高裁の謝罪や再発防止策に触れたが「司法の取り組みなので、行政府、政府としては見守りたい」とした。一方、内閣府が所管する国立公文書館に記録を移管する見直しに対しては、行政府として連携するとした。(霍見真一郎)

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