「火垂るの墓」舞台の神戸・御影公会堂など歩いて巡る 参加者、戦争の悲惨さ胸に刻む

火垂るの墓ゆかりの地をめぐる参加者たち=神戸市東灘区御影石町4

 故・野坂昭如さんの自伝的小説「火垂るの墓」ゆかりの場所を巡る「火垂るの墓を歩く会」が21日、神戸市東灘区などであった。同小説は神戸大空襲で母を亡くした兄妹の物語で、御影(東灘区)や兵庫県西宮市が舞台。参加者15人が、御影公会堂(同区御影石町4)など小説やアニメ映画で描かれた場所を歩き、戦争の面影をたどった。

 実行委員会が1999年から開催し、この日は御影コース(約2.5キロ)を歩いた。作中で母が息を引き取った救護所として描かれた旧・御影国民学校(現御影小)をスタート。焼け野原をさまよう場面で登場する御影公会堂などを経由し、野坂さんが実際に通い、アニメで描かれた校舎のモデル・成徳小学校(神戸市灘区備後町1)を目指した。

 案内役の辻川敦さん(63)は「空襲による被害だけでなく、戦争のしわ寄せや社会のひずみによって苦しんだ子どもが多くいた」と解説。同県伊丹市から参加した教師(59)は「50年ほど前に小説を読み衝撃を受けた。念願かなってゆかりの地を歩き、改めて若い世代に戦争の悲惨さを伝えていかなければならないと感じた」と話した。(安藤真子)

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