ゆるさで話題の千葉銀ツイッター 運営姿勢は「厳格」です デビュー1年 担当グループ直撃

上段は千葉銀行公式ツイッターの昨年6月1日の初投稿。金融機関の硬派なイメージを覆すゆるいツイートで注目を集めた

 「よろしくお願いしマッチョ〈両腕の筋肉を見せる顔文字〉」-。金融機関の硬派なイメージを覆す初投稿で衝撃のデビューを飾ってから、もうすぐ1年を迎える千葉銀行の公式ツイッター。昨年6月の開設以降、“ゆるすぎる”ツイートを連発し、約1年で4万2000人のフォロワーを獲得するなどネットユーザーの注目を集め続けてきた。その舞台裏をのぞいてみようと、千葉日報は同行のSNS運営グループを直撃。すると、投稿内容のゆるさとは裏腹に、運営に臨む姿勢は至って「厳格」という意外な一面が見えてきた。

(デジタル編集部・塚越渉)

 「しごおわの舞!!〈踊りの顔文字〉」「ゴールデンウィークは!!!終わらねェ!!!!(現実逃避)」

 同行ツイッターの投稿画面はこんなゆるいツイートであふれている。「お疲れさまです」「早く現実に戻らんと社会復帰出来なくなりますよ」-。フォロワーたちも気安くリプライを送り、アットホームな雰囲気が醸成されているのが印象的だ。

◆ターゲットは若年層

 取材に応じてくれたのは、マーケティング戦略グループ副調査役の清水康裕さん(36)。「ミステリアスさを残したい」との理由で、ツイッターを更新する担当者でいわゆる「中の人」は同席しなかった。

 同グループはツイッターのターゲット層を、銀行になじみの薄い10~20代の若年層に絞っている。同行に親しみを持ってもらい、見込み顧客を獲得していこうと開設した。

 親近感を持ってもらう手法として目を付けたのがゆるさ。顔文字やアスキーアートなどを駆使する自由なツイートを心がける。清水さんは「他の銀行でもアカウントを持っているところはあるが、広告宣伝に関する堅いツイートがほとんど。ゆるく日常を発信することで若い層に見てもらえると考えた」と話す。

 プロフィール欄には「金融機関として、厳格なツイートを心がけております」と記載しており、ツイートとの温度差もウケている。初めてのツイート「お願いしマッチョ」を投稿する際には反応が未知数のため、グループ内に緊張が走ったというが、同ツイートは多くの人から注目を浴び、1400件以上リツイートされた。

 ユーザーとの交流を重視し、積極的にリプライもしている。清水さんは「双方向でコミュニケーションが取れ、情報の広がりが早いところがツイッターの利点。返信すると親しみも持ってもらえる。銀行として伝えていくべきことも伝わりやすくなる」と手応えを感じている。

◆入念なチェック体制

 一方、運営面では銀行らしく「厳格」だ。

 「中の人」の考えた投稿内容はまず、グループ内でしっかりとチェック。次に上席の管理職の承認を得る。そうした手続きをクリアして、晴れて投稿、ということになる。意図と異なる解釈で拡散されたり、炎上したりするリスクを防ぐ狙いがある。

 厳重なチェック体制を取っているため、リアルタイムで頻繁にツイートするような機動力に乏しいことは否めない。清水さんは「うちは銀行。炎上するわけにはいかない」と割り切っている。

 開設からまもなく1年。今のところ全社的に認識できる変化はないが、ツイッター上では「口座を持ちたくなった」というポジティブな反応も出ている。コンスタントに投稿を続け、長期目線でファン層の拡大を図っていく考えだ。

 清水さんは今後について「他業種で似たコンセプトの企業アカウントもある。コラボして発信力を上げたい」と意欲。地方銀行として、食や観光などの千葉の魅力も伝えていきたいと考えている。

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