サンショウウオが「熱い」と感じるのは30度 「人が触るとやけど」伝承も

敏感に「熱さ」を感知する特性が明らかになったハコネサンショウウオ(長浜バイオ大提供)

 「人が触っただけでやけどしてしまう」との言い伝えがあるサンショウウオは、人の体温より低い約30度で「熱い」と感じていると、滋賀県長浜市の長浜バイオ大のグループが発表した。多くの動物は43度以上で熱さを感じるとされるが、サンショウウオはより敏感な高温センサーを持っていることが分かった。

 サンショウウオやイモリなど有尾両生類は温帯から寒帯に生息する。涼しく多湿の気候を好むとされるが、詳しい理由は分かっていなかった。

 人や動物では、皮膚表面に存在して高温を感知するセンサーの活性化が「熱さ」の感覚をもたらす。長浜バイオ大の齊藤修教授らのグループは、日本の山地に生息するハコネサンショウウオ、メキシコ原産のウーパールーパーなど有尾両生類4種について、どのくらいの熱さで高温センサーが活性化するか調べた。

 その結果、ハコネサンショウウオが平均約28度だったほか、いずれも人の体温より低い30度前後の温度で活性化した。さらに、高温センサーをつくるタンパク質は、哺乳類とわずかな違いで体感の熱さが大きく異なることも分かった。

 齊藤教授は「サンショウウオは地球温暖化の影響で生息しにくくなっていると考えられる。高温センサーの仕組みを明らかにすることで、同種の保全の一助につなげたい」と話す。11日に英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズにオンライン掲載された。

© 株式会社京都新聞社