●自然、万葉の歴史PR 6月にも地元団体が整備
奈良時代、万葉歌人の大伴家持(おおとものやかもち)が歌に詠んだ七尾市中島町瀬嵐(せあらし)の無人島「机島(つくえじま)」に人を呼び込もうと、地元出身者で結成した団体が、6月にも桟橋を整備する。島唯一の船着き場は石積みで崩れやすく、満潮時は浸水する一方、干潮になると浅瀬となって船を係留できなくなるため、安全な浮き桟橋を設ける。完成後には島の自然や万葉の歴史をPRして誘客を図る。
桟橋は瀬嵐に生まれ育った出身者でつくる「万葉の島、机島磨き上げプロジェクト実行委員会」が手掛ける。実行委によると、机島は半世紀ほど前までは海水浴客や釣り人でにぎわう観光名所だった。しかし、レジャーの変化で机島観光は廃れ、訪れる人がいなくなると漂着ごみが目立つ状態になったという。
実行委のメンバーは島のにぎわいを取り戻そうと、3年ほど前からごみの回収や草刈りを始めた。現在はいかだを作ったり、マリンレジャーを実施したりと無人島を体験できるプログラムを企画して、その収益を島の整備費に充てている。
現状の船着き場は浅瀬にあり小船しか着岸できない。計画では、桟橋を船着き場から沖に6メートル程度せり出すように整備し、水深1.5メートル程度を確保して、より大きな船が係留できるようにする。
机島は瀬嵐の港から約500メートル沖合にあり、市ホームページによると周囲約1.3キロの小島で、市の名勝に指定されている。
実行委では31日までクラウドファンディングで寄付を募っており、目標額は150万円。会長の木村幸生(こうき)さん(43)は「全国の万葉ファンに呼び掛けて支援の輪を広げ、机島の知名度を上げていきたい」と話した。