インスタ映えしなくても「命の温かさがある」 滋賀・東近江の障害者施設が60周年式典

止揚学園の歌を舞台で歌う入居者ら(東近江市佐野町)

 滋賀県東近江市佐野町の重度知的障害者施設「止揚学園」が、同施設で60周年の記念式典を行った。支援者や福祉関係者ら約250人が集まり、学園の歩みや思い、入所者らの発表が披露され、参加者が聞き入った。

 同施設は、1962年に障害のある子ども4人を近江八幡市の寺院を改修した施設で受け入れたのが始まり。新型コロナウイルスの影響で61年目に、記念式典を行った。

 妹が入居する家族の会の西川久米雄代表(69)は「54年前に障害がある妹を預かってくれて、学園には本当にお世話になった。これからは親に替わって、学園にできることをしていきたい」と感謝の意を表した。

 入居する13人が舞台で学園の歌「大切なみんなの家」を歌うと、会場からも歌声や手拍子が響き渡った。

 昨年亡くなった創立者の父福井達雨(たつう)さんから学園を受け継いだ生(いくる)園長(56)は「障害のある人もない人も一緒にぶつかり合って、60年の歴史を築いてきた。障害のある仲間との出来事はインスタ映えするような鮮やかなものではないけど、命の温かさがあるんです」と、園生とのかけがえのない暮らしについて訴えかけた。

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