長崎市の長崎商高でスポーツビジネスコース始動 充実の環境で人材育成 陸上の全天候型コースも新設へ

体力測定に励むスポーツコース1期生の生徒ら=県立総合体育館

 長崎県内唯一の市立高校、長崎市立長崎商に本年度から「スポーツビジネスコース」が新設された。同校は春夏10度の甲子園出場がある野球部や全国トップレベルの女子ソフトボール部などを中心に部活動が盛んで、専用の練習場も充実している。ここに陸上の400メートルタータン(全天候型の合成ゴム)コースも設置予定で、在学中や卒業後にスポーツ分野で活躍できる人材育成を目指している。
 「もっといける」「あー、きつい!」-。5月初旬、コース1期生となった生徒たちが同市の県立総合体育館で汗を流した。高精度な器具や専門職員の下、脚力や瞬発力、筋持久力などを計測し、体づくりのための栄養学にも耳を傾けた。
 「今までにない経験ができている。スポーツのことをたくさん学べて楽しみ。来年は今回の数値を超えられるように頑張る」。そう話すのは強化指定部の一つ、女子ソフトテニス部に入った堀田菜々美さん。質の高い多くの「学び」を受ける新入生たちは、活気に満ちあふれている。
 そうした体力測定や宿泊研修などの特別日程とは別に、1年時は週に2こま「スポーツ理論」の授業が組み込まれ、2年時以降はこま数が増えて各種競技の実技やスポーツマネジメントに関する学習が加わる。商業系の資格取得など従来の教育課程も土台にあるため、卒業後や、いずれ現役を引退した時の選択肢を広げていけるのも特徴だ。
 本年度の強化指定部は野球、陸上、女子のソフトボールとソフトテニス。校内には野球場とソフトボール場がそれぞれあるなど、部活動の環境は公立校では県内随一と言える。今後の注目事業の一つはグラウンド内に設ける陸上の400メートルタータン(2レーン、一部直線は4レーン)コース。約1億1500万円をかけて本年度着工し、来年度から利用できる予定だ。女子寮の運用も3年目に入っている。
 一方でコース1年目の本年度は定員40人に対して31人の定員割れでスタート。前期と後期で20人ずつを募集したが、後期入学者は強化指定部以外を含む11人にとどまった。有力な中学生の進路決定が早いことを踏まえ、前後期の募集比率などが今後の課題として残った。
 コースの担任で陸上部を指導する岩元一章教諭は「部活動での活躍はもちろん、卒業後の進路を大事に切り開いていきたい。まだ手探りの部分もあるが、生徒たちは元気がいい。行事などでもリーダーとして引っ張って、学校全体の活性化につながる存在になってほしい」と期待を込める。

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