森トラスト・伊達美和子社長 持続可能観光で地域と発展 来冬、南山手にホテル開業へ

「地域に受け入れられ、活性化できるホテルを目指したい」と語る伊達社長=長崎市茂里町、長崎新聞社

 不動産開発大手の森トラスト(東京、伊達美和子社長)は、長崎市南山手町の児童養護施設「旧マリア園」を改装し、英インターコンチネンタルホテルズグループ(IHG)のブランド「ホテルインディゴ長崎グラバーストリート」を2024年冬に開業する。伊達社長が25日、長崎新聞社のインタビューに応じ、新ホテルへの意欲や長崎観光の課題について語った。

 -九州へのホテル事業進出は初めて。長崎を選んだ理由は。
 日本各地で複数のホテル事業を進めている。地方部の開発で重視するのは、エンタテインメント(娯楽)、エデュケーション(教育)、エステティック(美的要素)、エスケープ(脱日常)にエモーショナル(感動)を加えた「4E+1」の視点。外国人居留地として栄え、ストーリー性に富み、多様な文化の色彩美、文様美が混ざり合った長崎市は希少性が高い。旧マリア園の素晴らしい建物にも縁があり、投資を決めた。
 -当初は2022年度を開業目標としていた。
 新型コロナ禍や工事の遅れ、文化財を保存活用するための諸手続きなど複数の要因がある。プロセスに沿って進めているので、コンセプトや規模などは当初計画と変わりない。
 -長崎駅周辺で外資系ホテル進出が相次いでいる。
 さまざまなホテルブランドが集積すれば、地域の知名度、注目度は上がり、むしろプラス効果が大きい。コロナ禍以降、観光客が旅に求める価値はさらに多様化した。選択肢が増え、競合よりも共存のメリットが大きいと考えている。
 -コロナ禍の影響が和らぎ、各地でインバウンド(訪日客)の獲得競争が激化する。長崎が官民で取り組むべき課題は。
 (長崎市が導入した)宿泊税の使い道は重要。ごみやマナー、混雑など「観光公害」の解消に使うのがいいだろう。観光施設の案内板やアナウンスなども時代に合わせたサービスや表現方法に進化させていく必要もある。
 今後は観光業界でも、サステナブル(持続可能)な視点が求められている。私たちも、従業員の働きやすさや環境負荷の改善はもちろん、地域に受け入れられ、共に発展していけるようなホテルを目指したい。

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