石木ダム建設予定地の川棚・川原地区 自然と共存「誇らしい」 重機を背にホタル乱舞

石木川と岩屋川の合流点を舞うホタル。川沿いには重機が並ぶ=川棚町川原地区(村山嘉昭さん撮影、60秒露光)

 長崎県と佐世保市が計画する石木ダム建設予定地の東彼川棚町岩屋郷川原地区でホタルが見頃を迎えた。土地収用法に基づき強制収用した用地で工事が始まって3カ月。石木川沿いで無数の光が乱舞する一方、支流沿いには重機が入り、景色は一変。それでも住民は「自然と共存していることを誇らしく思う」と話す。
 同地区では強制収用後も13世帯が暮らす。先週末は町内外から大勢の人が訪れ散策。地元の若手が駐車場の看板などを設置し、子どもたちの歓声も響いた。
 家族4人で毎年訪れる佐世保市の男性(45)は「光の動きとカエルの合唱に引き込まれる。行政は後に引けないのだろうが、このままにしておけないのだろうか」と疑問を呈した。住民の川原伸也さん(51)は「喜んでいただき大変うれしい」と笑顔。一方で「この自然をなくしていいのか。見に来てこの光を感じてほしい」と語った。6月初旬まで楽しめそう。
 岩屋川沿いでは収用された耕作地に土砂が投入された。住民によると、工事で濁水も発生。それでも石木川と岩屋川の合流点では重機を背にホタルが舞っていた。県は2025年度末のダム完成を目指している。

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