PET漁網リサイクルで実証事業 長崎県平戸・生月の舘浦漁協 帝人などと3者で

実証プラント完成を祝い、テープカットする鴨川組合長(左から3人目)ら=平戸市、舘浦漁港

 長崎県平戸市生月町の舘浦漁協(鴨川周二組合長)、繊維メーカーの帝人(東京)、漁網製造の木下製網(愛知県西尾市)の3者は、巻き網漁業で使うポリエステル製漁網(PET漁網)のリサイクル技術確立と、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガス排出削減効果を確認する実証事業に取り組む。27日、同町の舘浦漁港で漁網洗浄リサイクル設備(実証プラント)の開所式があり、関係者約60人がテープカットで祝った。事業期間は来年3月末まで。
 3者によると、ナイロン製漁網は既にリサイクル技術が確立。巻き網漁で使うPET漁網は、強度を増すため樹脂を配合している。リサイクルには樹脂の除去が必要だが、費用がかさむため、リサイクルせずに廃棄するのが一般的という。
 使用済みPET漁網は国内で年間約1300トン、同漁協で年間約50トンが発生。同漁協はPET漁網のリサイクルを目指し、両社と勉強会を重ね、環境省の実証事業に応募。昨年8月に採択された。同漁協が舘浦漁港内にあった旧鉄工所の建物を買収して、実証プラントに刷新した。

実証プラントのうち、PET漁網に配合されている樹脂を取り除く装置=平戸市、舘浦漁港

 実証プラントには、漁網の裁断から配合樹脂の除去、洗浄、乾燥までの4工程それぞれの機器があり、このうち配合樹脂を取り除く装置は国内メーカーが新たに開発した。事業では同漁協が巻き網漁船団から使用済み漁網を回収し、実証プラントで処理。処理済みの漁網は帝人に譲渡し、再資源化する。
 開所式で鴨川組合長は「海の環境が年々悪化している。事業では漁網の再生、循環を目指す。世界にこの取り組みが広がることを願う」とあいさつ。巻き網漁船団の船主、東洋漁業(長崎市)の金子岩久社長は「環境を考えた漁業をしなければならない。漁業と自然が共存する第一歩」と話した。

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