長崎・五島の事業者ら新エネ大賞会長賞 太陽光パネルを再利用 「脱炭素へ普及進めたい」

再利用太陽光パネルを活用した取り組みが評価された事業者の代表ら=五島市役所

 再利用の太陽光パネルを第三者がビルの屋上に設置して電力を供給する「オンサイトPPAモデル」に取り組んでいる長崎県五島市内の事業者など3者が、新エネルギー財団(東京)の2022年度「新エネ大賞」で会長賞に選ばれた。将来的に大量廃棄が予想されるパネルを有効活用したビジネスモデルが評価された。
 3者は▽一般社団法人離島エネルギー研究所(同市、木村誠一郎代表理事)▽小売電気事業者の同市民電力(同市、橋本武敏社長)▽不動産分譲、賃貸事業のJR西日本プロパティーズ(東京、森克明社長)-。
 太陽光発電は、国の固定価格買い取り制度が始まった2012年から急速に普及した。パネルの耐用年数は20~30年程度だが、建物の解体などで、五島市内でも既に廃棄に関する相談が寄せられているという。離島の場合、島外処理となるため搬出コストもかかる。
 同研究所は20年度から、同市の再生可能エネルギー分野先端技術開発支援事業を活用し、中古パネルの修理点検や設計、施工の技術を確立。実証試験を進めている。
 JR西日本プロパティーズ九州支社(長崎市)は21年から、両者と連携し、同支社の電力を五島産の太陽光、風力発電で賄い、二酸化炭素(CO2)排出実質ゼロを目指す「五島版RE100」を実施。昨年はオンサイトPPAモデルも開始。同支社が入居する神の島センタービル(長崎市)の屋上で、再利用の太陽光パネル約270枚を設置し、稼働している。
 3者は会長賞の分散型新エネルギー先進モデル部門に選出。「(中古パネル利用などで)安価な再エネ調達を実現し、パネルの廃棄量抑制に貢献する取り組み」と評価された。
 先月下旬、3者の代表が市役所で野口市太郎市長に受賞を報告。木村代表理事は「自然エネルギーを推進する立場として、中古パネルの普及を進めたい」と話した。
 同支社は、同ビルの太陽光発電の余剰電力から生じる「環境価値」を、長崎市片淵1丁目の賃貸マンション建設工事現場に充てる取り組みも実施中。加藤寿郎支社長は「カーボンニュートラルの取り組みを長崎、五島から発信したい」とした。

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