プラスチック分別回収 住民協力が鍵 日常的に危険物混入

プラ容器の選別などを行う小山広域保健衛生組合の南部清掃センター。コンテナ脇に選別された空き缶、スプレー缶などが積まれている=4月下旬、野木町

 プラスチック資源循環促進法で市町の努力義務とされたプラスチック製品の分別回収。下野新聞社が県内全25市町に行ったアンケートでは、10市町が課題として「住民への周知に時間を要する」を挙げた。既に容器包装リサイクル法に基づきプラスチック容器包装を分別回収している市町の処理施設では日常的に刃物やライターなどの危険物が混入しており、新たな分別回収でも住民の理解と協力が鍵となりそうだ。

 アンケートでは10市町がプラ容器を分別回収していると回答し、ほかに食品トレーや発泡スチロール類のみ分別しているという市町もあった。

 宇都宮市下荒針町のエコプラセンター下荒針では、収集車が運び込んだプラ容器をレーン上で職員が手選別する。冷凍食品の袋、ペットボトルのラベル、シャンプーボトル…。汚れが目立つものや、プラ容器ではない異物を一つ一つ取り除く。その量は全体の約2割に上るという。

 ライターやスプレー缶、電池などの危険物も混入している。包丁やカミソリなどが見つかることも。選別をクリアしたプラ容器は1メートルの立方体状に圧縮され、県外のリサイクル工場に運ばれる。

 手塚功(てつかいさお)場長(59)は「プラスチックは燃えやすいので、モバイルバッテリーやライターなど発火の可能性がある異物が特に怖い」と話す。

 小山、下野、野木3市町のごみを処理する小山広域保健衛生組合の南部清掃センター(野木町)も混入の問題は同様だ。水野辰雄(みずのたつお)施設課長(63)は「プラスチック製に見えても充電池が内蔵されている小型家電やおもちゃもある。プラ製品を分別回収することになれば、危険物の混入が増えるのではないか」と不安を口にする。

 まだプラ容器も分別回収できていない市町からは「どれくらい周知に時間がかかるか読めない」との声も漏れる。

 環境省によると、プラ資源循環促進法に基づくプラ製品分別回収は現在、全国の37自治体・広域組合が取り組む。4月からプラ製品とプラ容器を同じ指定袋で一括回収している仙台市は、リーフレット全戸配布するなどして周知を図ってきた。担当者は「大きな混乱はないが、危険物の混入は報告されている。再資源化促進のため、住民の皆さまにさらなるご理解をお願いしたい」と話している。

エコプラセンター下荒針で見つかった危険物。発火の恐れがあるライターやスプレー缶がある(宇都宮市提供)

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