長崎大が乳幼児の頭蓋変形研究 国内初、五島で5年間750人測定 五島中央病院など協力

乳幼児に専用の帽子をかぶせ、3Dスキャナーで頭の形を測定する(長崎大提供、写真は人形を使用)

 長崎大は30日、乳幼児の頭蓋変形に関する国内で初めての大規模な研究を始めると発表した。長崎県五島市内で750人の頭の形を3Dスキャナーで測定し、データを集める。31日から始め、5年間実施する。
 調査は健診時に保護者の了承を得て行う。最初の2年間で4カ月、1歳半、3歳のデータをそれぞれ250人分収集。このうち、4カ月で測定した乳児は1歳半、3歳でも協力してもらう。
 長崎大生命医科学域リプロダクティブヘルス分野の江藤宏美教授(助産師)によると、新生児の頭蓋骨は分娩(ぶんべん)時の産道通過や出生後の脳の成長に対応できるよう、柔らかく変形しやすいのが特徴。出生直後から寝かせたり、抱いたりする体位に気をつけることで変形をある程度予防できる。早期に発見すれば、ゆがみへの対処も可能という。
 欧米では、頭蓋骨の変形がその後の発達に影響を与える可能性が指摘されている。ただ、日本ではこうした問題があまり知られていない。股関節の脱臼や歯並びなどに関係するという指摘もある。
 五島市の五島中央病院やクリニックなども協力。乳幼児に測定用の帽子をかぶせ、3Dスキャナーを使って7方向から撮影。5分程度で終わる。この調査・研究で、頭の変形は▽いつ頃から起こるのか▽自然治癒する場合とそうでない場合の違いは何か▽変形によってどんなデメリットをもたらすか-などの解明を目指す。

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