バックスが事業運営を譲渡 県内外8企業で設立の新会社へ

熱狂的なファンの声援に包まれる日光霧降アイスアリーナ=2月26日のホーム最終戦

 アイスホッケーアジアリーグのHC栃木日光アイスバックスが来季から、新たな運営会社の下でリーグ戦に臨むことが31日、関係者への取材で分かった。現運営会社の「栃木ユナイテッド」(日光市松原町、セルジオ越後(えちご)社長)が県内外8企業で設立した新会社に事業運営を有償譲渡する。新型コロナウイルス禍による観客動員数の減少などが運営に影響したとみられる。

 関係者によると、譲渡先の新会社は「栃木日光アイスバックス」。従来のスポンサー企業で自動車部品メーカーの京浜精密工業や人材派遣のエイジェック、日光市内に拠点を置く古河電気工業、古河機械金属など8企業が出資で3月に設立された。今後は6月上旬に株主総会を開き、正式に新会社の運営をスタートさせる。栃木ユナイテッド社の負債は引き継がれず、同社は近く解散する見通し。

 栃木ユナイテッドのセルジオ社長を含む社員7人は新会社に移籍し、引き続きチーム編成や営業活動に従事する。既にアジアリーグや日本アイスホッケー連盟などへは報告済みという。チーム活動にも影響がなく、藤沢悌史(ふじさわよしふみ)監督のほか日本代表のGK福藤豊(ふくふじゆたか)、FW古橋真来(ふるはしまくる)ら主力選手も31日までに来季契約を更新している。

 栃木ユナイテッドは07年、経営の立て直しを目指した前の運営会社「日光アイスバックスとちぎ」から事業を引き継ぐ形で設立された。この間にチームは12年のアジアリーグで過去最高の準優勝となったほか、14年の全日本本選手権で初優勝。19年に2度目の頂点に立った。昨季の22-23シーズンは5季ぶりにプレーオフへ進出している。

 一方で運営面は苦しい状況が続いていた。アジアリーグには韓国に加えて一時はロシア勢も参戦。チームの遠征費負担が重くのしかかった。さらに20年以降は新型コロナウイルス禍による協賛企業数や観客動員数の減少も響いた。チームを将来的に存続させていくため、従来のスポンサー企業の協力で設立された新会社への事業譲渡を決めた。

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