ハンドボール女子日本代表 輝きを増す新星・石川空(大分鶴崎高校出身) 【大分県】

パリ五輪を目指すハンドボール女子日本代表「おりひめジャパン」のチーム最年少、石川空(大分鶴崎高校卒、大阪体育大学3年)。4月から始まった国内強化合宿に参加し、経験を積んでいる。石川は「技術だけでなく人間性も見習うことが多い」とレベルの差を感じながらも、「オフェンスではロングシュートなど通用する部分がある」と手応えも感じている。

中学3年時に2度の日本一を経験した石川は、高校では1年時から主力として試合に出場するとU-16、U-18、U-20と各年代別の代表に選出され、国際大会でも結果を残した。大阪体育大学に進学すると、日本代表監督であり、同大の監督でもある楠本繁生氏の指導を受け、成長曲線が跳ね上がった。「高校までは感覚でプレーしていたけど、2対2の状況判断など大学になって学んだ」(石川)。個人戦術を学び、一つ一つのプレーを言語化し、整理することで試合運びやパスの配球が格段に上がった。楠本監督は「視野の広さは天性のものだが、そこに理屈が加わることでプレーの幅が広がった」と成長を喜んだ。

おりひめジャパンの一員としてプレーする石川空

昨年9月に年齢制限のないフル代表に初めて選出され、脚光を浴びた。しかし、同年12月に左膝前十字靭帯(じんたい)を損傷し、輝かしい競技人生で初めて歩みを止めた。「プレーできるのが当たり前だと思っていた。日本代表が遠のいたと思った」と落胆する石川だったが、小学生の頃から一緒にプレーした仲間から励ましの言葉を受けて奮い立った。以降、これまで手付かずだった筋力トレーニングに力を入れて肉体改造を施す。「下半身が強化され攻守の切り替えの部分が速くなった」と変化を実感する。肩周りも強化されシュートレンジは広がり、ロングシュートの威力が増した。

日本代表に復帰し、徐々に自分の居場所を確保している。石川は「スタートから(試合に)出るのは難しいが、ワンポイントで使ってもらえることがある。ロングシュートを打ってチームに流れを持ってくるプレーをしたい」と8月のアジア予選に向けてアピールする。楠本監督は「チャンスを最大限に生かしてほしい。次の日本代表を背負う逸材であり、下の世代に夢を与えるパイオニアになってほしい」と期待する。実績のあるライバルとの序列を覆すのは簡単ではないが、伸びしろは他の選手に比べて大きい。期待の新星は輝きを増している。

パリ五輪への出場を目指す

(柚野真也)

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