町側が責任認め謝罪、訴え取り下げ 滋賀・甲良町の税金欠損めぐり、大津地裁

大津地裁

 滋賀県甲良町が2500万円以上の税金を徴収できなくなったことは町長らに責任があるとして、町民17人が野瀬喜久男町長に対し、野瀬町長と前町長ら3人に損害賠償請求をするよう求めた訴訟の弁論が31日、大津地裁(池田聡介裁判長)であった。町側が責任を認めて謝罪することを確認し、原告側が訴えを取り下げた。

 訴状によると、2016年に元税務課職員の税金着服が発覚するなどし、町は16~17年度に計2569万円余りの未納税金を不納欠損金として債権放棄した。原告らは19年、町が差し押さえなど時効の延長に必要な処分を怠ったとして、野瀬町長と前町長、前副町長に金利を含めた損失分を請求するよう求めていた。

 原告代理人によると、地裁が長期化を避けるためとして、和解に相当する条項を提示。「町長は町を代表し、多額の不納欠損を生じさせたことについて深謝する」「今後とも再発防止に向けた取り組みを風化させることがないようにし、租税債権の適切な管理を行う」との内容で双方が同意した。

 原告の西澤伸明町議は会見で、「中心的な訴えを認めてもらったところで大きな成果があったと受け止めている。野瀬町長が町民に対し真摯(しんし)に反省の態度を示すことが出発点になる」と話した。

 野瀬町長は京都新聞社の取材に、「今後町民に説明していく」と話した。

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