「県総」推す声が大半 県武道館に3候補

富山県が県武道館の整備候補地に挙げた県総合運動公園のびのび広場=富山市内

  ●五福支持する声も駅前は変更の公算

 富山県が整備を目指す県武道館について、基本計画の見直しを検討する会合が1日、県庁で開かれた。県側は従来の予定地となっている富山駅近くに加え、新たに県有地である富山市の県総合運動公園(県総)と五福公園を候補地として示し、委員からは県総を推す声が大半を占めた。五福を支持する声もあった一方、駅周辺に賛同する意見は出ず、建設地を変更する公算が大きくなった。

 県側が提示したのは、現計画地である富山市千歳町の民間駐車場(敷地面積5950平方メートル)のほか、県総内の「のびのび広場」(2万9千平方メートル)、五福公園内の五福スポーツ広場(1万2100平方メートル)の3カ所となる。

 県は当初、千歳町に4階建ての施設の整備を予定していたが、資材価格の高騰により、整備費は基本設計で想定した約87億4千万円から約3割増の110億円程度に上振れする試算が出た。

 施設の多目的機能を縮小させ、観客席数や延べ床面積を削減するなど整備費の縮小を図ったが、今後さらに物価高が進む可能性も考慮すると、整備費は105~110億円と試算され、大きな縮減効果を出すことは難しい見込みとなった。

  ●4階から2階に

 そこで、高さを4階建てから2階建てに下げ、全国大会などの開催に必要な道場の広さを確保しながら、整備費を圧縮することを提案。ただ、建築面積が7500平方メートル必要なため、現在の計画地では建設が困難となり、新たに二つの候補地を提示した。

 会合では、出席した委員8氏のうち5氏が県総、2氏は五福を推し、1氏は明言しなかった。麦野英順富山経済同友会代表幹事は「五福は周辺道路の渋滞に住民が不便を感じている」と五福の道路の渋滞を課題に挙げた。県武道館の整備を要望してきた県武道協議会の岡本仁理事長は、県総が北陸自動車道富山インターチェンジに近く、遠方からも利用しやすいとした。

  ●「五福」に課題多く

 五福に住む堀田朋基県スポーツ推進審議会長は、五福のスポーツ広場はサッカーや陸上の大会に使用されていると指摘し「(武道館を建てれば)陸上はサブグラウンドとして使っており、大会ができなくなる。スポーツの機会を奪ってしまう」と懸念を示した。

 一方で、県総が市街地から離れており、バスの本数も五福より少ないと移動距離や手段への課題を挙げる声や、サッカーJ3・カターレ富山が県総陸上競技場をホームにしているとして、試合日の混雑を不安視する意見も上がった。五福公園の近くに大学や高校などが集積し、武道競技の振興に適しているとの主張も聞かれた。

 県は9日開会の県議会6月定例会で武道館の方向性について議論した上で、7月をめどに基本計画の改定案を取りまとめる見通し。

富山県が県武道館の整備候補地に挙げた五福公園五福スポーツ広場=富山市内

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