ワクチン未接種の消防職員を「拒否者」、全職員に回覧 執務席も移動させる

滋賀県甲賀市

 滋賀県甲賀広域行政組合消防本部が2021年5月、新型コロナワクチン未接種者の30代職員について「拒否者」と称した文書を全職員に回覧していたことが分かった。文書は匿名だが、職員が特定できるようになっていた。

 同本部によると、職員はインフルエンザワクチン接種で副反応が出たことを理由に同年4月、コロナワクチン接種をしないと申告。本部は、顧問弁護士と相談し、コロナ感染症拡大防止のため職員の同意を得た上で、執務席を他職員と離れた場所に移動した。本部は同5月13日付で職員を「接種拒否者」として所属や執務席を記した上で、接触を避けるよう要請した文書を全職員に回覧したという。職員は同8月末に依願退職した。

 国は未接種者を差別しないよう求めている。本部は「当時の事情から業務上必要以上の接触を避けるための措置は問題ないと考える。ただ、職員への心情には配慮が足りなかったかもしれない」としている。

© 株式会社京都新聞社