「ガシャン」音がすると側溝に頭から血を流した男性が 引き上げ、止血、119番…男女5人が連携プレー

しらさぎ賞を贈られた(前列左から)永井正夫さん、菊森唯愛さん、柏崎江梨香さん=飾磨消防署

 側溝に落ちてけがをした高齢男性の救助に貢献したとして、兵庫県姫路市は市内の男性2人、女性3人に市の善行賞「しらさぎ賞」を贈った。永井正夫さん(78)と飲食店勤務の菊森唯愛(ゆいな)さん(21)、アルバイト柏崎江梨香さん(21)が贈呈式に出席した。

 4月4日午後5時半ごろ、永井さんが同市飾磨区妻鹿の自宅近くを歩いていると、「ガシャン」と大きな音が聞こえた。駆け寄ると、道路の側溝に男性が頭から血を流して座っていた。側溝は深さ約1.5メートルで水も流れていたという。近くに自転車が倒れていた。

 永井さんは、車で通りかかった会社員栗山真徳さん(52)とともに男性を引き上げて自宅から持参したいすに座らせ、タオルで止血をした。近くを通った女性が119番。その後、自転車で帰宅途中だった菊森さんと柏崎さんも側溝に入り、荷物が流されないよう拾い上げるなど素早く行動した。

 「側溝にも血が流れていたので不安だった。男性に声をかけ続けた」と永井さん。柏崎さんは「救急隊が来るまで10分ほどだったと思うけど、1時間くらいに感じた」と振り返る。飾磨消防署によると、男性は頭を切る軽傷だった。

 5月15日の贈呈式で、菊森さんと柏崎さんは「もし自分の家族だったらと思い、心配で自然と体が動いた。助けられて本当によかった」。永井さんは「特別なことはしていないので恐縮です」と控えめに喜んだ。(橘高 声)

© 株式会社神戸新聞社