台風2号の接近に伴って大雨が降った2日、日本を代表する建築家・村野藤吾(1891~1984年)が手がけた兵庫県尼崎市の市立大庄南生涯学習プラザが雨漏りに見舞われた。旧大庄村役場として86年前に建てられ、国の登録文化財となっている建物。タイル張りの外壁は簡単には修復できないため、老朽化が担当者の頭を悩ませている。
建物は鉄筋コンクリート地上3階建て。ホールや学習室、実習室を備え、市民に貸し出されている。2年前に耐震補強を施したが、外壁は老朽化が進んでいるという。
市によると、2日午前10時ごろ、施設を運営する指定管理者の従業員が雨漏りに気付いた。雨水は壁の配管スペースを伝って3階から1階まで流れ落ち、1階の床が浸水した。
施設側は応急処置としてバケツで水を受け止めている。市民の利用には支障がなかったという。
雨漏りは過去にも起きており、担当者は「雨量が少なくても、屋内に水がしみ出してくる時があった。風向きのせいでしょうか」と首をひねる。
どこから雨水が漏れてきているか判然としないため、修復には「しっかりした調査が必要になる」。文化財ゆえに外壁を大幅に新しくするわけにはいかないといい、担当者は「通常の工法では直せない。市民が使う施設なので早く修復すべきだが、抜本的に直すには費用がどれだけかかるか…」と漏らした。(山岸洋介)