9、10日に砺波市中心部で行われる「となみ夜高まつり」に向け、各常会(町内会)の大行燈の制作が大詰めを迎えている。深江常会では、砺波地方の夜高行燈を調査する砺波郷土資料館の学芸員東出紘明さん(30)=杉木、札幌市出身=が深江公民館での制作に参加し、曳き回しにも加わっている。東出さんは「大変だけど自然に公民館に足が向く」と夜高の魅力にぞっこんだ。
東出さんは国学院大大学院時代の修士論文で、小矢部市津沢地区から伝わった北海道沼田町の夜高行燈を調査。2016年に深江の空き家を拠点に砺波市内の夜高行燈の調査していた際、当時の深江常会長から「祭りにも参加してみてはどうか」と誘われ、16、17年は法被を着て祭りの曳き回しに参加した。18年に色塗りを体験、砺波郷土資料館の学芸員になった19年は、色が混ざらないように溶かした蝋(ろう)を和紙の下絵の縁に塗る「ろう引き」と色塗りを手伝った。
コロナ禍で祭りの参加は4年ぶり。3月下旬に制作が始まり、責任者である裁(さい)許(きょ)の五十里(いかり)裕和さん(48)らと作業に励む。
大行燈は高さ6.5メートルで伝統の赤色を基調とする。毎年、御所車を中心に前面が大黒様、背面は獅子の「吊(つ)り物」と呼ばれる行燈を取り付ける。五十里さんは「みんな3年前を思い出しながら作っており、経験者の東出さんは貴重な戦力です」と話す。東出さんは「大勢が集まり、いろんな人と交流ができる。祭りの醍醐味を楽しんでいる」と地域に溶け込んでいる。