女子の外見に点数付け、いたずら仲間を「勇者」と賛美…男子校の“黒歴史”から考えるジェンダー問題 灘中・高で講演

「男同士でお笑いやスポーツの話はするのに、心の問題を分かち合う時間が少ない」。自身の経験を交えて生徒に語る清田隆之さん=神戸市東灘区魚崎北町8

 1200人以上の恋愛話を聞き集め、「恋愛とジェンダー」をテーマに発信活動を行う恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表の文筆業、清田隆之さん(43)=東京都=が、灘中学・高校(神戸市東灘区)で講演した。「男子校時代の黒歴史はジェンダー問題につながっていた」と軽妙な語り口で経験を共有した。(名倉あかり)

 講座の表題は「男子校時代の黒歴史に学ぶ、生きづらさと男らしさのこと」。同校の総合学習「土曜講座」の講師の一人として登壇し、生徒約50人が参加した。

 東京都出身の清田さんは、都内の中高で男子校生活を6年経験した。異性との交流が少ない中、仲間内で卒業アルバムを持ち寄って女子の外見に点数を付ける「品評会」を行っていたことを明かし、「ジェンダー視点で振り返ればルッキズム(外見至上主義)であり、女性蔑視」と省みた。

 また、上級生や先生に紙くずを投げつけるなどのいたずらを仕掛けた仲間が「勇者」とたたえられたり、外見の特徴であだ名を付けて友人をからかったりしていたエピソードを紹介。「いかにも男子のコミュニケーションのやり方で、ホモソーシャル(男同士の連帯)。大人になるとそれが下ネタなどになり、女性を遠ざけて男性だけで盛り上がってしまう」と問題視した。

 講演の後は生徒が数人に分かれて男子校特有の「ジェンダーのモヤモヤ」などをテーマに意見を交換。開始前に同校の片田孫朝日(かただそんあさひ)教諭(46)がつらい失恋をした時に友人がまじめに話を聞いてくれなかった過去を語り、「モヤモヤを笑いものにしたり、話にオチを付けたりしなくていい」と呼びかけた。

 生徒たちは慎重に言葉を選びつつ、「女子と話しているだけで男友達に『付き合っている』とからかわれ、異性と話せなくなった」「男子校にいると、つい相手の話を聞くのではなく論破しようとしてしまう」などと悩みを打ち明けた。

 講座の最後に清田さんは「言語化できない自身の感情をそのままにせず、おしゃべりして手当てしてあげて」と優しく語りかけた。

 受講した高校2年の男子生徒(16)は「男子校の『ノリ』を大学まで続けると、人を傷つけかねない。意識を変えないと」と表情を引き締めていた。

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