コロナ記録集発行 長崎大・河野学長「100年後のために」 医療従事者、学生らの証言収録

会見後、撮影に応じる(左から)泉川副学長、河野学長、濵田副学長=長崎市文教町、長崎大

 長崎大は2020年1月から21年9月までのコロナ禍の大学の取り組みなどをまとめた「長崎大学の挑戦 新型コロナウイルスパンデミック記録集」を発行した。未知のウイルスに立ち向かった医療従事者22人のインタビューのほか、日常を奪われた学生や教職員252人の証言を収録している。
 記録集は「長崎大学病院・熱帯医学研究所・大型クルーズ船コスタ・アトランチカ号集団感染編」と「本部・学部編」の2冊で構成。17日に河野茂学長、編集責任者で同大付属図書館長の濵田久之副学長、学内の新型コロナ対策担当の泉川公一副学長が会見した。
 「100年後のために記録を残すべき」と編集を提案した河野学長。同大医学部の前身、長崎医科大の被爆者の証言集を読んで「すごいことが起きたと感じ、戦争も核兵器もだめだという思いになった。一方で100年前のスペイン風邪のことはほとんど残っていない」と後世に記録を残す大切さを語った。
 濵田副学長は「コスタ・アトランチカ号の集団感染に立ち向かった医師や看護師の生々しい記憶や、大学が閉鎖になって授業に出られなかった学生がどんな思いだったのかなど個人の思いを重視した。記録を残すことで未来の人の役に立てればと思う」と述べた。
 400セットを発行。学内や大学病院のほか、県内の大学、公立高校、一部の公立図書館などに配布。長崎大のホームページに7月以降、電子版を公開予定。

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