「一人一人の命 思いやる」 佐世保・小6同級生殺害から19年 児童ら黙とう

集会で黙とうする児童=佐世保市立大久保小

 佐世保市立大久保小で2004年、6年生の御手洗怜美さん=当時(12)=が同級生に殺害された事件から19年となった1日、同校の体育館で「いのちを見つめる集会」が開かれた。出席した児童らは黙とうをして被害者を追悼、命を大切にすることをあらためて誓った。
 黒田優一校長は講話で、自身の命だけでなく他の人の命も大切にしてほしいと呼びかけた。その上で「決して周りの人を、言葉や暴力で傷付けることがあってはならない」などと訴えた。事件については触れなかった。出席した児童は学年ごとに「自分のことも相手のことも大事にします」「一人一人の命を思いやる」といった決意の言葉を述べた。
 集会で、事件の概要については7年前から説明していないという。理由について黒田校長は報道陣に「児童の心的ストレス軽減のため」と説明。集会では命の重みを学ぶことが大切であり「(集会で)事件の重大性を子どもたちに理解させる必要性はない」などと重ねて強調した。
 事件は04年6月1日に同校の学習ルームで発生。当時11歳だった6年女児が、御手洗さんをカッターナイフで切り付け殺害した。加害女児は長崎家裁佐世保支部の少年審判を経て同年9月、児童自立支援施設に入所した後に社会復帰した。
 事件を巡っては昨年10月、同支部が19年2月28日に同事件の記録を廃棄していたことが判明した。

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