将棋「第13期加古川青流戦」始まる 地元で初の開幕局、解説会も 徳田四段連覇なるか

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 将棋の若手棋士らが頂点を競う第13期加古川青流戦(兵庫県加古川市など主催、神戸新聞社共催)が始まった。今期は初めてトーナメント開幕局を加古川市で行い、同じ会場で大盤解説会も開催。ファン約120人が訪れ、地元ゆかりの棋士らによる解説を聞きながら熱戦を楽しんだ。(井原尚基)

 今期のトーナメントに出場している40人は、4月1日現在の四段15人▽奨励会三段20人▽女流棋士2人▽アマチュア3人。このうち、アマチュア枠は116人による選抜大会を勝ち抜いた荒木隆アマと鈴木肇アマに加え、日本将棋連盟の推薦を受けた慶田義法アマが出場する。

 女流棋士は里見香奈女流五冠(白玲、清麗、女流王座、女流王位、倉敷藤花)と西山朋佳女流三冠(女王、女流名人、女流王将)が参加。アマチュアと女流棋士の5人は全員が奨励会三段経験者だ。

 同棋戦はこれまで、決勝3番勝負のみを加古川市で指し、それ以外の対局は東京と大阪の将棋会館で行われてきたが、今期はファンが観戦できる機会を増やすために開幕局も加古川市で開催。同じ会場で大盤解説会も開かれ、同市在住の井上慶太九段や、井上九段門下の稲葉陽八段、高砂市出身の村田智穂女流二段が解説を務めた。

 開幕局の高田明浩四段-藤本渚四段戦は、井上九段門下の藤本四段が勝利。終局後、藤本四段は大盤解説会場で「終盤のぎりぎりの勝負を見せられたのでよかった」と喜び、高田四段は「今日は藤本四段の応援が多いとは思いますが、自分のファンにもなっていただけるように頑張っていきたい」と意気込みを述べた。

 同日は、今年4月にデビューした森本才跳四段(西宮市)と柵木(ませぎ)幹太四段による同期対決も同じ会場で行われ、大盤解説会には高田四段、藤本四段も参加。森本四段がプロ初対局で勝利し「デビュー戦は勝ちたかったので安堵(あんど)している」と喜び、柵木四段は「またここで指せるように頑張りたい」と誓った。

    

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 加古川青流戦で過去に優勝した11人(第10期は新型コロナ禍のため中止)の内訳はプロ10人とアマ1人だ。奨励会員は過去4人が決勝3番勝負に出場したものの敗退。女流棋士は決勝3番勝負への出場実績がない。複数回の優勝経験者もおらず、今期は前期優勝した徳田拳士四段に可能性がある。

 井上九段は今期の注目ポイントとして、女流タイトルを分け合う里見女流五冠、西山女流三冠らの名を挙げ「アマチュア3人の活躍も非常に楽しみ」と話した。さらに「過去に決勝3番勝負に出場した弟子は第1期で優勝した船江恒平六段だけ」と話し「今期もたくさん出場しているので、そろそろ決勝3番勝負に出てきてもおかしくない」と期待。三段リーグ上位の成績が続く上野裕寿三段の名を挙げ、徳田四段との初戦に注目したいと話した。

 決勝3番勝負は11月4、5日に同市の鶴林寺で行われる。

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