ロボットが水やり、種まき…高校生のハイテク農園が完成間近 姫路工で今月中旬にも栽培開始

農園に気温や湿度などを測定する「イー・カカシ」を設置する高校生ら=姫路工業高

 姫路工業高校(兵庫県姫路市伊伝居)電子機械科の生徒たちが、水やりや種まきを自動化するロボットなどを活用した「スマート農業」に取り組んでいる。5月末には校内の農園に、日射量や土の温度などを測って栽培のアドバイスをする装置「e-kakashi(イー・カカシ)」を設置。機器類を取り付けた農園は完成間近で、6月中旬にも農作物の種まきを予定している。(井上 駿)

 姫路市が農業分野のデジタル人材育成に向け、2020年度から取り組む「スマート市民農園事業」の一環。昨年度から同校電子機械科の生徒が選択授業の一環で、水やりや種まきなどを遠隔操作できる農業ロボット「ファームボット」を活用した、12平方メートルの農園の設計と機械の組み立てに取り組んできた。

 5月31日には、イー・カカシを取り扱う通信大手ソフトバンク(東京)の社員が同校を訪問。機能を説明し、生徒と一緒に機器類を農園に設置した。

 イー・カカシは、日射量や温度や湿度、土壌の水分量などを計測し、スマートフォンやタブレット端末のアプリで確認できる。蓄積したデータから、作物の生育に必要なアドバイスを送る人工知能(AI)も備える。同社の山本恭輔さん(35)は「ただ数値を集めて表示するのではなく、農業の経験をデータ化して次世代に引き継げる」と説明する。

 生徒らはこの農園でハツカダイコンとトマトを育て、夏ごろに収穫する予定。3年の男子生徒(17)は「人手不足や高齢化などの農業の問題を解決できるかもしれない。収穫まで楽しみ」と話した。

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