キルトに和の美光る 南砺市福光美術館で作品展が開幕 黒羽、岡野さん意欲作

展示作品について解説する黒羽さん(左)=南砺市福光美術館

  ●富山、石川の作家も出品

 「Art Quilt(アート キルト)2023 キルトに愛をこめて」(南砺市、市福光美術館主催、富山新聞社、北國新聞社共催)は3日、同美術館で開幕した。トップ作家の黒羽志寿子さん(85)=東京=と岡野栄子さん(77)=同=を中心にした作品展で、和の美が光る作風の共演が来場者を魅了した。富山、石川両県の作家も意欲作を並べ、会場はキルト愛好者の熱気に包まれた。

 日本キルト協会の前会長である黒羽さんは、藍染めなど日本の布の魅力を世界に紹介してきた。今回は絣(かすり)織物や無地の藍染めの布を使って光を表現した作品、168種の縞(しま)を用いた作品など9点を並べた。

 食物や文章などを題材に独創的なキルトを発表してきた岡野さんは今回、打ち掛けの形状のシリーズ作品「本日はお日柄もよく」を出展。江戸切子(きりこ)や日本の国旗、桜など華やかな意匠の9点を展示した。

 「北陸のキルトリーダー」として富山県から14人、石川県から7人の作家が出品。南砺市福野児童センターアルカスと志貴野高生活文化科が賛助出品した。

 開会式では、田中幹夫市長があいさつ、水口秀治市議会議長、富山新聞社の佐々木玲子高岡地区代表が祝辞を贈り、テープカットした。黒羽さん、岡野さんによる作品解説と記念講演が行われた。

 観覧料は一般800円、高校生・大学生210円、中学生以下は無料となる。7月31日まで。会期中の関連事業は次の通り。

 ◇17日午後2時 緑の森のコンサート

 ◇ワークショップ▽24日午後2時 ブック型携帯お針ケース▽7月9日午後2時 スマホと小さな物が入るツーウェイショルダー▽同29日午後2時 バラのピンクッション飾り

  ●「ここで根太く成長」 記念講演で黒羽さん 

 記念講演で黒羽さんは、広い美術館を会場にしたキルト展について「こんなに良い場所を提供してくれており、ここでキルトが根太く成長するという希望が持てた」と語り、聴き入った愛好者らに一層、創作に励むよう呼び掛けた。

 黒羽さんは岡野さんの作品を「明快なきっぱりとした色使いで、いさぎよい」と評価。岡野さんは黒羽さんについて「布に対する知識や研究心、藍染め愛がすごい」と紹介し合った。

  ●「新しい発見」岡野さん

 岡野さんは2人の初共演となった今回の展示について「性質の違うキルトが全然、けんかしない。新しい発見がたくさんできた」と笑顔を見せた。

  ●呉山さん紹介「百徳キルト」 グループ展始まる 

 福光美術館アートルームでは、7月31日までの会期を分けて4団体が順次、関連事業としてキルトグループ展を開く。3日は北國新聞文化センター講師で「百徳キルトの会」代表の呉山裕子さん(金沢市中戸町)と生徒による「百徳キルト展」が始まった。

 「百徳」は、母親が子の無事を祈って知人や縁者からもらった布を継ぎ合わせて縫う子ども用の着物で、金沢に江戸時代から伝わるという。展示では、着物と着物をかたどったミニタペストリー計約80点が並び、来場者に縫い物文化の魅力を伝えた。グループ展の観賞は無料で、今後の日程は次の通り。

 ▽19日~7月2日 中村登志子と楽しい仲間達展▽7月3~16日 パッチワーク教室チェリーブロッサム展▽同17~31日 大塚千鶴子・舘谷章子ミシンキルト二人展Ⅱ

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