生活再建、みんなで協力 珠洲・正院で紙の仮住まい着工

ログハウスの組み立て作業に取り組む学生たち=珠洲市正院町正院

  ●5日で地震発生1カ月

 珠洲市で3日、最大震度6強の地震で被害を受けた住民を助けようと、県内外のボランティアが週末を利用して続々と駆け付けた。正院町正院では、学生らが、地震で住居を失った市民の仮住まいとして「紙のログハウス」の建築に取り組んだ。野々江町の高齢者宅では県外から訪れた消防士が片付け作業を手伝った。5日で地震発生から1カ月。復興を後押しする応援の輪は広がり続けている。

 正院町正院の吉野正信さん(80)方では、筒状にして強度を持たせた紙「紙管」やベニヤ板を組み合わせた「紙のログハウス」作りが進められた。

 吉野さん宅は、地震で柱が傾き住めなくなった。困り果てていたところ、復興支援のため市内を回っていた世界的建築家の坂(ばん)茂さんと出会い、坂さん考案のログハウスを建ててもらうことになった。

 家の制作には、金沢工大や慶大、芝浦工大の学生ら約30人が参加。ビールケースに砂袋を入れて建物の基礎部分を作り、その上に紙管やベニヤ板、断熱材などを組み立てる作業に取り組んだ。金沢工大4年の久木田夏鈴さん(21)は「被災地で壊れた建物を目の当たりにして驚いた。施工作業は初めてだが、何かの役に立ちたい」と話した。

 ログハウスは、幅6メートル、奥行き3.6メートルで、10年以上住むことができるという。4日に完成する予定で、吉野さんは「たくさんの方に助けていただき本当にありがたい」と感謝した。組み立て作業を見守った坂さんは「今後も依頼があれば、被災者のために制作に協力したい」と話した。

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