<スイセン球根誤食で食中毒> 小さいタマネギとうり二つ、間違えてポトフに 場合により死に至ることも… 県担当者に注意点聞く【急上昇ニュースのウラ】

タマネギと間違えたスイセンの球根(千葉県衛生指導課提供)

 タマネギだと思ったらスイセンだった―。千葉県御宿町の男女7人が有毒のスイセンの球根が入ったポトフを食べて嘔吐(おうと)などの食中毒症状を発症したというニュース。「そんなにタマネギと間違えやすいの?」と、ネット上では驚きの声が相次ぎました。県の担当課によれば、スイセンは特に球根に毒性成分が多く、その見た目は小さいタマネギとうり二つ。全国では過去にも誤食の事例が報告されています。対策の方法はあるのでしょうか。改めて県担当者に注意点を聞きました。(デジタル編集部・佐藤瑞妃)

「見分けつかない?」ネットで驚きの声

 食中毒になったのは、親戚や知人関係の71~87歳の7人。先月28日夜、町内の住宅で会食した際、1人が別の知人から送られてきたスイセンの球根をタマネギと誤って食材として活用し、ポトフを調理しました。

 食べてみて苦みがあったため、送り主に問い合わせて間違いだと気づきましたが、全員が嘔吐(おうと)などの食中毒症状を発症。7人は救急搬送され、命に別条はありませんでした。

 「スイセンの球根って、玉ねぎと間違えるほど大きくないと思うが、葉玉ねぎと間違えたのかな」「玉ねぎとスイセンってまったく色が違うって聞いたけど見分けつかないもんなのかな」―。

 このニュースが報じられると、ネット上では驚きの反応が続出。「スイセンとニラを間違えて食べてしまったというニュースを聞きますが、球根も間違えるんですね」などと、葉の形がニラと間違いやすいことは知っていても、球根の誤食のケースについては知らなかったという声もありました。

県担当者「素人が見分けるのは難しい」

 県衛生指導課によると、スイセンは有毒成分アルカロイドを含み、食べると30分以内に嘔吐などの症状が始まるそうです。同課の担当者は「今回は症状が軽くて良かったですが、自然毒は場合によっては命に関わるものが多い」と危機感をあらわにします。

 スイセンの球根は5センチほど。形状に加え、外側の皮は茶色、中身は白と、色もタマネギと似通っています。担当者は「小さいタマネギと見た目が似ていて、素人が見分けるのは難しい」と指摘します。

 同課によると、茨城県でも5月に、スイセンの球根をタマネギと誤って食べるという同様のケースが発生。千葉県内では、過去に球根を食べたケースは記録には残っていませんが、葉っぱを誤食し食中毒となった事例が2007年と19年にありました。

 厚生労働省によると、22年までの10年間でスイセンをニラやタマネギなどと間違えて食べて発生した食中毒件数は全国で65件、患者数は216件で、うち1人が亡くなっています。

食用と分からない植物は人にあげない

 今回、知人から送られてきた荷物には、スイセンの球根だと分かるように書いたメモが同封されていましたが、7人はそのメモを見逃していたとのこと。担当者は「観葉植物を植えたり、もらったりしたら家族で情報共有しましょう。また、春先から山菜採りのシーズンに入っています。確実に食用だと分からない植物を採ったり、食べたり、人にあげたりするのはやめてください」と呼びかけています。

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