【台風2号記録的大雨】静岡県も甚大な被害“線状降水帯”の発生相次ぐ 土砂災害や浸水被害も

台風2号による記録的な大雨は、静岡県内にも大きな爪痕を残した。西部や中部では線状降水帯が発生、土砂災害や浸水被害が相次ぎ、各地で被害が出た。

6月2日、台風2号の接近に伴い県内を襲った記録的な大雨。気象台によると、降り始めから3日午後3時までの総雨量は、伊豆市の天城山で517.5ミリ、浜松市天竜区春野で510.5ミリを記録するなど、静岡県内3か所で500ミリを超えた。

(リポート)

「あたりは嵐のような状態となっていて、この辺りは視界が悪くなっています」

2022年の台風15号で大きな被害が出た静岡市清水区の鳥坂地区でも…

(リポート)

「降り続いた雨の影響で道路が冠水してしまっています、少し歩いてみますと足首ほどまで水が出てきてしまっています」

大雨の影響で、広い範囲で道路が冠水。

(リポート)

「道路が冠水しているのを知らずに来てしまった車でしょうか、警察が対応にあたっています」

警察が交通整理にあたったほか、膝ほどの高さまで水に浸かり、自転車を押しながら歩く人も見られた。

活発な雨雲が流れ込み続けた県内。同じ場所で猛烈な雨が降り続ける線状降水帯の発生情報が4回発表された。

また、この大雨により県内では一時、磐田市と袋井市、沼津市の一部に警戒レベル5の「緊急安全確保」が、また、多くの市や町に避難指示が発表された。

また、東海道新幹線は、約20時間にわたり東京駅~名古屋駅間で運転を見合わせたほか、高速道路は、東名と新東名の多くの区間で通行止めとなるなど、交通機関にも大きな影響を与えた。

大きな被害を受けた県西部では…

(リポート)

「浜松市北区引佐町の土砂崩れの現場です。土砂が大量に流れてきた様子が分かります、その土砂に押し流されてしまったのでしょうか、建物が大きく壊れているのが確認できます」

浜松市北区引佐町では土砂崩れが発生。住宅1棟が巻き込まれ、この家に住む男性(35)と連絡が取れなくなった。地域おこし協力隊として、この地域に移り住んだ男性。協力隊の任期を終えた後も、鳥獣の駆除や耕作放棄地の活用など、地域のために活動していた。

(男性の知人)

「仕事仲間、草を刈ったり木を切ったり、おとなしい方、早く見つかってくれると…」

しかし、捜索で建物の1階部分から遺体が発見され、その後、この家に住む35歳の男性であることが確認された。

一方、再び被害を受けた地域も…

磐田市敷地では、太田川水系の敷地川の堤防が決壊し、濁流が住宅街に流れ込んだ。磐田市内では41軒で床上・床下浸水が発生したという。

一夜明けた現地では…

(リポート)

「こちらの堤防を見ていただくと突き当りのところが大きくえぐれているのが分かります、その横をみると土のうが置かれているのが分かります。こちら台風15号の時も決壊していた場所になります」

この地域では、約9か月前の台風15号でも堤防が決壊し、堤防の仮復旧が終わったばかりだった。

こちらの男性は2022年に続き2度目の床上浸水に見舞われたという。

(浸水被害にあった住民)

「これが水位、ここまで水がきた」

台風15号の被害後に買い換えた電化製品などが再び水に浸かった。

(被害にあった住民)

「気持ち的にはがっくり、あんまり悲観してネガティブになってもしょうがない。できるだけポジティブに生活するように心がけている」

4日、災害ボランティアセンターが開設され、ボランティアが地域の人たちと一緒に、住宅に流れ込んだ泥の撤去など復旧作業にあたった。

(ボランティア)

「どこがこういう災害になるか分からない、自分は大丈夫だったので来た」

一般のボランティア参加は、センターへの事前登録が必要で、県西部の居住者に限られるということだ。

県東部も記録的な大雨に見舞われた。

(リポート)

「沼津市の大岡地区です、川の水が溢れ出し、病院や住宅で浸水被害がありました」

沼津市大岡では、水路の水を川に流し出す排水ポンプが大雨の影響で止まり、氾濫したという。住民は片付けに追われ、道路の端には泥で汚れた家具や家電が積み上げられていた。

当時の様子について住民は…

(住民)

「(水の)増え方がいつもと全然違う。床の上まで(水が)くるのが心配で、玄関を開けて見ていた」

氾濫した水路の近くにある、こちらの病院。扉の隙間から大量の泥水が建物の中に流れ込んだという。

(きせがわ病院 塩田美佐代 局長)

「この高さまで(水が)入ってきた。部屋にある大事なものなど全部浮いていた。酸素のボンベも浮いていた」

病院によると、泥や機器などの撤去作業後に消毒を行う必要があり、もとの状態に戻るには数日かかるということだ。

さらに、病院の裏にある老人ホームでは、浸水当時、入居者が1階で食事をしていて、現場は騒然としたという。

(アージェントきせがわ 宮川隆行さん)

「明らかに土のうを積んでも収まらない状況だったため、みんなを上層階に移すためにエレベーターを使用しようとしたが、エレベーターが止まっていたため、入居者を階段で一人ひとり誘導、車いすの人は4人で2階まで避難をした」

施設には37人の入居者がいたが、けが人や体調が悪化した人はいなかったという。

県によると台風2号による記録的な大雨で、浜松市では4棟が全壊した。また、これまでに床上浸水が173軒、床下浸水が544軒確認されているほか、土砂崩れなどにより現在も33か所が通行止めとなっている。

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