見どころ満載の週末! 天敵から待望の白星も 広島カープ vs. ソフトバンク 天谷宗一郎さん解説

広島カープは、セ・パ交流戦の2カード目。ソフトバンクをマツダスタジアムに迎えての週末を振り返りましょう。

RCC野球解説者 天谷宗一郎 さん
「躍動感もすごくありましたし、やっぱり見ていて、わくわくする野球でした」

6月2日(金)

金曜日の先発は、左ひじの炎症による離脱から戻ってきた 床田寛樹 。低めにボールを集めるていねいなピッチングで好投を見せます。

天谷宗一郎 さん
「この日はスピードが出ていなかったんですけれども、非常にコントロールもよかったですし、大人の投球っていうのをしてくれていました」

流れをつかみたいカープは、3回、先頭打者の 菊池涼介 が、泳ぎながらもレフト前へ運び、出塁します。そして、WBC代表・甲斐の “甲斐キャノン” をものともせず、盗塁に成功! チャンスを広げます。

得点圏にランナーを置いて、打席には マクブルーム 。打球は、左中間に落ちるかと思われましたが、ここは相手の好守備に阻まれます。

5回まで1失点と粘っていた床田は、6回、ノーアウト・ランナー1塁で広島出身の柳田。地元凱旋アーチでリードを広げられてしまいます。

天谷宗一郎 さん
「柳田選手の、豪快というよりも技術で打ったようなバッティングです」

床田は、6回・3失点で降板しましたが、フォアボール0と左ひじに不安を感じさせない復帰登板となりました。

追いかけるカープは、6回、先頭のマクブルーム。今シーズン、被安打0の甲斐野のストレートをとらえると、打球はライトスタンドへ。待ってました! 13試合ぶりのホームランで1点を返します。

天谷宗一郎 さん
「本当にすばらしい一発です。もう打った瞬間、(明らかにホームラン)ですから」

そして7回、床田に代わってマウンドに立ったのは、1か月ぶりに右太もものけがから帰ってきた 栗林良吏 。先頭打者を打ち取り、代打・リチャード。外に逃げる低めのカーブで空振り三振。さらに柳町に対しては、143キロのカットボールで空振り三振に。復帰後、初登板を無失点で抑えました。

天谷宗一郎 さん
「違った緊張感というのはあったと思うんですけれども、そんな中でもすばらしいピッチング。さすがだなって思わせてくれるボールを要所で投げていました」

この日のカープ打線は再三、チャンスを作りますが、8安打・1得点と打線がつながらず、ソフトバンクとの初戦を落としました。

6月3日(土)

土曜日、2カード連続の負け越しを避けたいカープは、1回から機動力で試合を動かします。1アウトから今シーズン、初めて2番でのスタメンとなった 矢野雅哉 が意表を突くセーフティバントで1塁にヘッドスライディング。内野安打で塁に出ます。

天谷宗一郎 さん
「これ、ナイス・アイデアですよね。そして狙ったコース、強さも本当にすばらしいバントでした」

その後、満塁として、5番・西川龍馬 。鋭い当たりはファーストへのタイムリー内野安打となり、カープが幸先よく1点を先制します。

天谷宗一郎 さん
「さすがの勝負強さです」

1点をもらったカープ先発の 森下暢仁 は、7回・無失点だった1週間前の前回登板に続いて、この試合も好投を見せます。

天谷宗一郎 さん
「テンポもよかったですし、なによりゴロアウト・フライアウト・三振、バランスよくアウトを取っているんです。そして守っている野手は、『これ、捕ってほしいな』っていうところをやってくれる。すごく守りやすい環境っていうのを作ってくれていました」

2回、1アウト・2塁・1塁の場面では注文通りショートゴロで併殺に打ち取ります。3回にもノーアウト・1塁からまたもショートゴロの併殺で強力ソフトバンク打線を分断します。

森下に援護点をプレゼントしたい打線は、2回以降、なかなか追加点が奪えない、もどかしい展開が続きますが、6回裏、スタメンで先頭打者の 林晃汰 が、ライト線への2塁打でチャンスメイク。

天谷宗一郎 さん
「エラーした直後で取り返したっていう、この姿勢をやはり新井監督は大事にしているので、こういう強い気持ちっていうのを失わないでほしいです」

その後、1アウト・3塁・1塁とチャンスを広げ、この日、2安打の9番・森下。新井采配ズバリのスクイズ!

見事に転がし、好スタートを切っていた林の代走・田中広輔 がホームインし、2点目を奪います。

天谷宗一郎 さん
「これは、選手主導のセーフティースクイズなんですけれども、バントしたコース、そして田中選手のスタート、本当にすばらしい。選手たちがやろうとしていることを結果としてできた1点です。ナイスプレーです」

自らを助ける打点を挙げた森下は、その直後、7回表のマウンドを三者凡退で終え、前回と同じ7回・無失点でマウンドをリリーフ陣に託します。

天谷宗一郎 さん
「このカーブなんか、(打者は)目線からずれています。本当にすばらしいピッチングです」

白星を確実なものにしたいカープは、その裏、2つの四球と3番・秋山翔吾 の犠牲バントで1アウト・2塁・1塁のチャンスを作り、再び5番・西川。ライトへの当たりは、この日、2本目のタイムリーヒットとなり、1点追加。

天谷宗一郎 さん
「これもスライダーを得意としている嘉弥真投手のスライダーを明らかに狙っていただろうなというバッティングでした。この決めというところが、西川選手のバッティングを支えているのかなと思います」

押せ押せのカープは、続く途中出場の6番・田中広輔 。3塁・1塁の場面で再び新井監督のタクトが冴えます。6回に続き、2度目のスクイズを成功させ、この回、2点を奪い、4対0とリードを広げます。

天谷宗一郎 さん
「さきほどのスクイズは選手主導といいましたけども、これはベンチ主導なんです。ベンチ主導がなぜできるのかというと、選手と首脳陣が、『ここはスクイズを決めてくれるだろう。どんなボールでもやってくれるだろう』という信頼関係があるからこそ、できたプレーです」

最後は、島内颯太郎 で逃げ切ったカープ。森下の好投に加え、足と小技をからめた攻撃で見事、2戦目をものにし、再び貯金を1としました。

6月4日(日)

土曜日に続き、満員のマツダスタジアム。ソフトバンクの先発は、2020年までカープに在籍していた 藤井皓哉 。その藤井を1回からカープが攻めます。

2番・矢野雅哉 が、初球から積極的に打ちに行き、ヒットで出塁します。

天谷宗一郎 さん
「2番に入って、さらに躍動感が増しています」

そして、3番・秋山翔吾 の打席で矢野は足で仕掛けます。積極的な盗塁が相手のミスを誘い、そのまま3塁へ。矢野はうれしいプロ初盗塁。機動力でチャンスを演出します。

この先制のチャンスで秋山は、センター前に運び、先制します。

天谷宗一郎 さん
「落ちるフォークボールがインコースに来ているんですけれども、強引にならず、方向性というのをしっかり出しています。1点を取るバッティング、さすがです」

一方、投げては先発・アンダーソン 。毎回のように三振を奪い、ノーヒットピッチングを続けます。ところが4回、足がつるアクシデント。5回もマウンドに上がりますが、86球で交代となります。

天谷宗一郎 さん
「そうですね。だからこそ、ちょっともったいなかったです。投げる以外で心配事があるっていうのは、次の課題なのかなと思います」

6回のマウンドに立ったのは、栗林良吏 。高く弾んだ打球が太陽に重なってしまい、すぐに捕球できず、内野安打に。ランナーを背負うと、この回、3本のタイムリーを打たれてしまいます。

2点を追う展開になったその裏の攻撃。相手ピッチャーの制球が乱れ、満塁と一打逆転のチャンスを迎えます。ここで 林晃汰 に代わって打席に立つのは、チャンスに強い 上本崇司 。「晃汰のくやしい思いを乗せて、打つことができた」とうまくチェンジアップをとらえ、タイムリーヒット。1点差とします。

天谷宗一郎 さん
「今のコメントに全て出ています。上本選手の人柄というのが」

しかし、反撃もここまで。あと1点が遠かったカープは、8年ぶりのソフトバンク戦勝ち越しとはなりませんでした。

天谷宗一郎 さん
「6日からファイターズ戦、やっぱりビッグイニングを作ってほしいなと思います」

石田充 アナウンサー
「なんとか小技を使いながらコツコツという点の取り方ができて、接戦にはなった3試合だったと思うんですが」

天谷宗一郎 さん
「やっぱりビッグイニングで一気にカープに流れを持ち込んでくるような攻撃に期待したいなと思います。(キーマンは)1番・2番じゃないですか。1・2番がしっかりと(塁に)出る。そして、クリーンナップがしっかり返す。まあ、全員です」

石田充 アナウンサー
「DH制も考えると打線のつながり、野手全員になります。6日からはエスコンフィールドHOKKAIDOでファイターズ戦です」

© 株式会社中国放送