希少な網膜疾患、遺伝子レベルで解析 シスメックスと神戸アイセンター、検査システムを共同開発

神戸市立神戸アイセンター病院=神戸市中央区港島南町2

 医療用検査機器・試薬メーカーのシスメックス(神戸市中央区)は5日、目の網膜の働きが損なわれて見えにくくなる「遺伝性網膜ジストロフィー」の原因を遺伝子レベルで解析できる検査システムの製造販売承認を国内で初めて取得したと発表した。神戸市立神戸アイセンター病院(同)と共同開発。2023年度中の保険適用を目指し、厚生労働省や関連学会と作業を進める。

 遺伝性-は、4千~8千人に1人がかかる希少疾患の総称。代表的な「網膜色素変性症」は国内に約3万人の患者がいる。暗い所で物が見えにくくなったり、視野が狭くなったりする症状に始まり、進行すると失明することもある。

 今回のシステムは、同社と同病院が20年に開発に着手。1回の血液検査で82種類の遺伝子変異を調べ、原因遺伝子を特定できる。

 遺伝性-は根本的な治療法がなかったが、欧米で一部の原因遺伝子に対する治療法が確立された。遺伝子を特定できれば適切な治療に早く取りかかれ、症状の進行を予測できるという。

 シスメックスは「検査結果を新薬の開発に生かせる可能性もあり、早期の販売開始を目指したい」としている。(高見雄樹)

© 株式会社神戸新聞社