男鹿島で「わが家気分」満喫を 荒れ果てた母の実家を再生、元教師の男性が民泊施設オープン

母の実家を改修した「たんがしまリゾート」をオープンさせた佐藤仁さん=姫路市家島町宮

 思い出の島、思い出の家で新たな一歩を踏み出した。播磨灘に浮かぶ家島諸島の男鹿島(兵庫県姫路市家島町)で、元教師の男性が築60年以上の古民家を改修し、民泊施設をオープンした。古民家は元々、同島で育った母の実家。荒れ果てた空き家を再生させ、利用客がリラックスできる空間を提供しようと奮闘している。

 男性は大阪市出身の佐藤仁さん(42)。同市内で小学校教諭を15年間、明石市内の中学校で数学教師を3年間務めた。教師時代、子どもたちに挑戦することの大切さを説くうち、自分も男鹿島に渡る夢を膨らませていった。

 2021年春から2年間、近くの坊勢島で姫路市の地域おこし協力隊として活動。その間も開業準備を進めつつ今年4月、男鹿島に移り住んだ。佐藤さんは「島の雰囲気が肌に合う。父親も小豆島出身で、島の人間。ルーツのある島を盛り上げ、この家も大事に残していく」と話す。

 木造平屋の古民家は1960(昭和35)年に建てられ、母博子さん(71)が暮らした実家。佐藤さんも少年時代、博子さんに連れられて夏休みなどによく訪れた。当時、実家は採石業を営んでおり、昼食時には大勢の従業員らと食卓を囲んだ。近くの海では素潜りを楽しむなど、どこも思い出が詰まっている。

 ただ、家はここ数年、人が住んでおらず、荒れた状態だった。多くの友人らが何度も島を訪ねてくれ、大量のごみを処分し、壁や屋根の補強、障子の張り替えなどを手伝ってくれた。生い茂っていた雑木も伐採し、涼風が吹き込むようになった。案内看板やPR動画も作成した。

 4月末、民泊「たんがしまリゾート」として開業。早速、大型連休には神戸からの宿泊客もあった。今後、ウッドデッキやシャワー室などの設備を充実させていくという。「多くの人に男鹿島を知ってもらいたい。ゆったりと時間が流れる島で、ぼーっと息抜きできる、わが家のような場所にする」と意気込む。

 宿泊費は、素泊まりで大人4千円、小学生3千円(オフシーズンは値引き)。海水浴客らも有料で休憩できる。たんがしまリゾートTEL090.9876.8194 (辰巳直之)

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