全高校生に定期代半額助成 南砺市が所得制限撤廃

  ●県内初、統廃合で遠方へ通学増

 南砺市は、市内に保護者が住む全高校生約1200人を対象に、通学定期代の半額を助成する制度を、富山県内の自治体で初めて創設した。昨年3月に旧南砺福光高が閉校するなど統廃合で市内の高校が減り、遠方に通わざるを得ない生徒が増えたことを受け、所得制限を撤廃して対象を大幅に拡大し、物価高騰による保護者の経済的負担の軽減を図る。田中幹夫市長が5日、市役所で開いた定例記者会見で明らかにした。

 高専や中高一貫校、特別支援学校を含め、高校1~3年に当たる全生徒が対象で、通信制高校に登校する「スクーリング」にも助成する。JR城端線や市営バスなどの定期に加え、スクールバス代にも制度を利用できる。

 市は6日、保護者に制度創設の通知と申請書を郵送する。申請は年1回で、7月末に受け付けを締め切り、10月に助成金を指定口座に振り込む。

  ●上限は設けず

 昨年度は、ひとり親や低所得の保護者108人に定期代の半額を助成していたが、生徒の家庭の経済状況によっては、遠方への通学を避けるなど高校の選択肢が狭まっている可能性があるとみて、新たな制度の創設を決めた。新制度では、基本的に助成額の上限は設けず、スクーリングは年間10万円まで。事業費は2500万円を見込む。

 市内では2012年に旧南砺総合高井波高も閉校しており、現在、高校は南砺福野、南砺平の2校のみに減少した。保護者には「普通科のある市内の高校が半分になり、その分、市外に通わないといけない生徒が増えた」との声があった。

  ●市域広く、家庭負担も大きく

 市域が広いこともあり、市外に通う場合の経済的な負担は大きい。上平地域から高岡市へバスとJR城端線を乗り継いでいる生徒の保護者は「定期代が年間で約13万円かかる。助成してもらえれば、子どもがやりたいことにお金を回せて助かる」と話す。

 市は新制度を通じて、保護者にマイカーで送迎してもらっている生徒が、公共交通利用に転じることに期待しているほか、制度を利用する高校生に市の公式LINE(ライン)への登録を勧め、つながりを深めたい考えだ。市総合計画に基づく事業で、市は来年度まで2年間実施した後、反応をみて継続を検討する。

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