国に指定差し止め請求 長崎大BSL4 住民が提訴

BSL4施設の指定差し止めを求める訴訟を起こし、会見する原告の山田代表(右)ら=長崎市役所

 長崎県長崎市坂本1丁目の長崎大坂本キャンパスに完成した感染症研究施設「バイオセーフティーレベル(BSL)4」を巡り、安全性が立証されていないとして、付近住民が加藤勝信厚生労働相に対しBSL4施設への指定差し止めを求め長崎地裁に提訴した。原告らが5日会見し明らかにした。
 致死率の高いウイルスを扱う同施設を巡っては、付近住民らでつくる「BSL4施設計画の差し止めを求める会」(山田一俊代表)が、長崎大に基本構想中断と情報公開を求める二つの訴訟を起こし係争中。今回は山田代表ら住民2人が原告となった。
 訴状によると、同施設を一種病原体(エボラウイルスなど)の所持施設として指定しないことと、長崎大を一種病原体の所持者に指定しないことを請求。会見で原告らは「長崎市内にある小江原断層はBSL4施設の近くに迫っているが、長崎大は調査すらしていない」などと主張した。
 新たな提訴について代理人の三宅敬英弁護士は「(これまでの裁判で)長崎大は国の審査で適法に進められるから大丈夫と主張しているので、国に対し『ちゃんと審査するのか』と確認する」と説明。厚労省の担当者は「訴状は受け取っており、精査している」と話した。

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