核ごみ調査 11団体、賛否で請願書提出 反対派は署名も 長崎・対馬 

初村議長(左)に調査応募反対を訴える請願を提出する各団体の代表者ら=対馬市豊玉町

 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定の第1段階となる文献調査を巡り、調査応募を求める長崎県対馬市の建設系団体や、反対を訴える市民団体や漁業系など計11団体は5日、市議会に請願書を提出した。計8通で、反対派の2団体は、計2万筆超の署名も参考資料として添えた。
 このうち、市商工会は市議会での応募検討を求める内容。県建設業協会対馬支部など建設4団体は連名で「文献調査受け入れ促進」を市に求めた。同支部の原田繁盛支部長は「最終処分場はどこかに造らないといけない。雇用創出で人口減少にもいくらか歯止めがかかる」と話した。対馬真珠養殖漁協も建設4団体と同様の請願を提出した。
 応募反対を訴える請願書は計5団体がそれぞれ提出した。市民団体「核のごみと対馬を考える会」は市内外から集めた反対署名1万7635筆を、「文献調査に反対する市民の会」は2548筆を、それぞれ添付した。上対馬町漁協は請願書で「環境破壊や風評被害につながる最終処分場建設とその前提となる文献調査は不要だ」と訴えた。
 市議会定例会は20日開会する。各団体に対応した初村久藏議長は「議会で慎重に審議したい」と述べた。反対署名については「風評被害の心配は分かる。重く受け止めたい」とした。
 2年程度の文献調査に応募した自治体には、最大20億円が国から交付される。調査実施自治体は、全国で北海道寿都町と神恵内村のみ。

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