青森市、棟方志功記念館の建物活用を県と協議へ 西市長が意向

 施設の老朽化などを理由に来年3月末で閉館する青森市の棟方志功記念館について、同市の西秀記市長は5日の就任記者会見で「庭園を含めて、棟方を象徴するような場所。それは大事にしたい」と説明。記念館の存続については明言しなかったものの、校倉(あぜくら)造りを模した建物の利活用に向けては、施設運営を補助している県に協議を呼びかける方針を示した。

 西市長は4日投開票された市長選で、記念館の存続については直接言及せず、「文化的資源(棟方志功記念館、市立図書館跡、中央市民センター等)を擁する松原地区のまちづくりビジョンの策定」「ゆかりの文化・芸術家の業績を学び、未来につなげるまちづくり」を訴えてきた。

 会見で記念館の在り方を問われた西市長は「市は土地を貸しているだけ。(存続の可否を)勝手に言える立場ではない」と前置きした上で、「(県や記念館を運営する一般財団法人に)何か働きかけることは必要。手を打って存続できるものがあれば、存続させようということは申し上げていきたい」と述べた。

 一方、記念館所蔵の志功作品約2千点を同市の県立美術館に移す方針については「保管の環境でいえば、県立美術館に預かってもらう方がはるかに良い」と賛同する方針を示した。

 西市長の発言について、記念館を運営する一般財団法人の理事長を兼務する小野次郎館長は「建物を存続させる可能性があるということであれば、良い話」と歓迎。「新しい知事と市長の動向を注視しながら、打診があれば協議に参加したい」と前向きに語った。

 記念館を巡っては、ねぶた名人の千葉作龍さんら有志が存続を求める署名活動を行っている。

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