キヤノンメディカル 心臓血管内治療で協会長賞 「動く器具が静止しているように」

発明機能が搭載されたX線アンギオグラフィシステム

 心臓内で動く治療器具を静止しているように表示-。キヤノンメディカルシステムズ(大田原市下石上、瀧口登志夫(たきぐちとしお)社長)は6日までに、2023年度全国発明表彰(発明協会主催)で、「心臓血管内治療中における治療用器具の表示方法改善の発明」が発明協会会長賞と発明実施功績賞を受賞したと発表した。特別賞以上の受賞は3年連続。

 同社によると、世界の死因の約2割を占める虚血性心疾患の治療では、狭くなった心臓血管を内側から広げる治療が主流。カテーテルで血管内にステント(治療器具)を送り、留め置く治療で、患者への負担は小さい半面、拍動する心臓内に器具をミリ単位の高い精度で留め置かなければならず、高度な技量が求められるという。

 同社の発明は、治療箇所のX線画像を連続して取得し、動いている器具が画像間で同じ位置になるよう動きを補正して表示できるようにした。実際は心臓と一緒に動き続ける器具が、医師が確認する画像では静止しているようにリアルタイムで表示され、器具の視認性を向上させた。

 会長賞を受賞したのは、同社研究開発センター臨床応用研究部長の坂口卓弥(さかぐちたくや)氏、同社VLマーケティング&プロモーション部VLアップストリームマーケティング担当グループ長の竹元久人(たけもとひさと)氏、元東芝メディカルシステムズの南部恭二郎(なんぶきょうじろう)氏の3人。功績賞には瀧口社長が選ばれた。

発明機能が搭載されたX線アンギオグラフィシステム
心臓血管内用の治療器具(右)

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