脳腫瘍を患うマルセイユファンの8歳少年、アジャクシオファンに襲われる…マクロン大統領が強い制裁を要求

PSGの連覇で幕を閉じたフランス1部リーグアン。

4日に行われた最終戦アジャクシオ対マルセイユ戦で起きた問題が物議を醸している。

試合はすでに降格が決まっていたアジャクシオが3位マルセイユを1-0で下すというものだった。

『La Provence』などによれば、この試合に招待されていたマルセイユファンである8歳のケンゾーくんが敵ファンたちから襲われる事態に遭ったという。

敵地でマルセイユのユニフォームを着ようとしたことが事件の発端だったようだ。

脳腫瘍を患う彼はエール・コルシカの社長らに招待され、5歳の弟や両親とともに観戦に訪れた(アジャクシオはコルシカ島にある)。

ケンゾーくんはボックスシートに向かう途中で両親にマルセイユのユニフォームを着させてもらうことをせがんだ。父親が2枚のユニフォームを取り出したところ、15人ほどの敵ファンが襲い掛かったという。

母親は「彼らは私を突き飛ばし、踏みつけんばかりだった。『息子に触らないで、病気なの!』と叫んだが、彼らは『ユニフォームをよこせ』と言って、夫の顔を2度殴りつけた。彼らはユニフォームを燃やすと、『燃やしてやった、クソ野郎が』と息子に言い放った。混乱のなかで、ケンゾーはフェンスに顔をぶつけた。恥ずべきこと」などと述べている。

警備員らの介入で保護された一家は事態を知ったマルセイユ会長のボックスシートに非難。ただ、顔が腫れたというケンゾーくんは、試合後にマルセイユMFマッテオ・グエンドゥージから話しかけられてもなかなか笑顔を見せなかったそう。

その後、アジャクシオは「我がクラブと島の価値観を代表するものではない」と襲撃したファンたちを非難する声明を発表。会長も一家に謝罪したうえで、当該ファンたちの永久追放を宣言している。

一方、マルセイユの会長は「どんな精神を病んだ人間がこんなことをするのか。ショックを受けた。子供を襲うのは理解できない。人間ではない」を非難し、スタジアムのセキュリティの不備にも言及。

また、ケンゾーくんの父は「彼らは息子にトラウマを植え付けた。彼らのせいで彼はもう旅をしたがらない。息子は脳腫瘍から回復したばかりで、ずっと入院していた。また病院に戻るところだった」としつつ、相手ファンを愚弄してはいないと否定している。

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さらに、フランスのエマニュエル・マクロン大統領もこの件に言及。ケンゾーくんがトラウマから立ち直れるように家族に寄り添い続けるとしつつ、襲った犯人たちには明確で強い制裁を求めている。

フランスでは来年にパリ五輪が行われるが、ケンゾーくんをマルセイユの試合会場に招待することも検討されているようだ(マルセイユでもサッカーなどが開催される)。

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