豪雨被害 ボランティア本格化 茨城・取手 要請多く募集拡大 住民半数が高齢者

浸水した住宅から出たごみをトラックに積み込むボランティアの人たち=6日午後、取手市双葉

台風2号や梅雨前線の影響による大雨で約600世帯が浸水被害を受けた茨城県取手市双葉地区で6日、市民のボランティア活動が本格的に始まった。水に漬かって重くなった家財の運び出しや、泥かきなど力仕事に取りかかると、片付けができないままでいた高齢者らから感謝の声が上がった。同市のボランティアセンターには住民から依頼が増えており、当初、市内に限っていたボランティアの募集対象を拡大した。

「床が傷んでいる。注意して」「タンスが大きいから気を付けて」

浸水から4日目。被災者宅では市民ボランティアが声をかけ合い、畳や洗濯機などを運び出し、軽トラックの荷台に積み上げた。浄化槽から漏れ出た汚水の混じった土も率先してスコップで掘り起こし、土のう袋に詰めていった。

県外在住の倉下富子さん(67)は一人暮らしの母親(96)のため、ボランティアを頼んだ。「水を吸った畳は重くて、とても持ち上げられなかった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。夫を介護する宮本美子さん(75)は「力がなくてスコップは使えず、困っていた」。長女と2人暮らしの女性(78)は「近所の誰もが大変だから、申し訳なくて頼めなかった。本当に助かった」と感謝した。

ボランティアに参加した山内祐樹さん(19)は「双葉地区には友達が住んでいる。やれることをやってみようと思った。少しでも助けになれば」と話した。

同日、市社会福祉協議会のボランティアセンターを介して参加したのは25人。4人1組となり、9軒で活動した。このうち4軒は作業の継続が必要となった。

市によると、同地区の住民約2140人のうち、約半数の約1020人が65歳以上の高齢者。片付けが進まない家も多い。自治会副会長の諏訪道明さんは「1人暮らしの高齢者や障害のある人の家では、泥かきや重いごみを捨てることができず、苦労している」と話す。

事前登録したボランティアは同日夕現在で73人。センターには、それを上回る86件の依頼が住民から寄せられた。自治会にもセンターへの申し込みを求める連絡が相次いでいるという。諏訪さんは「支援を必要とする人はまだまだ多い」と訴える。

センターは当初、市民に限っていたボランティアの募集対象を同日、茨城、千葉両県に拡大した。7日は市の商工会や建設業協会に協力を要請し、被災者の了解を得た上で、家の外に出たごみの回収も始める。

今後、降雨も予想され、センターの担当者は「屋外の災害ごみがぬれて重たくなり、滑りやすくなる危険もある。対応を早めたい」と話した。

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