罹災証明や支援制度 高齢者宅出向き説明 珠洲市、申請漏れ防ぐ

地震被害に遭った住民(中央)に支援制度を説明する担当者=珠洲市正院町正院

 珠洲市は6日、地震で被害を受けた高齢者宅に職員が直接出向いて、罹災(りさい)証明書や各種支援制度を説明する取り組みを始めた。制度の存在を知らなかったり、申請方法が難しいとして窓口を訪れることを躊躇したりするお年寄りもいるため。多彩に用意された支援策の申請漏れを防ぎ、早期の生活再建を後押しする。

 市は5月29日、地震で被災した市民の各種手続き窓口を集約した「支援制度総合窓口」を市役所に新設した。被災者生活再建支援金の申請や、固定資産税、国民健康保険税の減免手続きなどを「ワンストップ」で受け付ける仕組みだが、高齢者に対しては、制度の周知が進んでいない懸念があった。

 このため、県精神保健福祉士会と県相談支援専門員協会と連携し、お年寄りの自宅を訪ねて制度を説明することにした。被害が大きかった正院地区の75歳以上の高齢者世帯のうち、支援が必要と見込まれる28世帯を対象とする。

 6日は、精神保健福祉士らが罹災証明書を申請していなかった正院地区の住民宅を訪ね、書類に記入してもらった。説明を受けた男性(79)は「市役所を訪ねて制度の説明を聞こうと思っていたが、来てくれて助かった。分かりやすい言葉で教えてくれたので書類の書き方も理解できた」と感謝した。職員は住宅の傷みを点検したほか、心身の悩みの有無についても聞き取った。

 被災で公的な支援を受けるためには罹災証明書が必要となる。証明書を取得した後は、被害の程度によって被災者生活再建支援金の申請や全壊した家屋の公費解体、住宅の応急修理費用の補助などが受けられる。

 市の担当者は「高齢化が進む珠洲では市民が窓口に来るのを待っているだけでは適切な支援が行き届かない。こちらから出向いてサポートしていく」と話した。

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