災害ごみ、本格搬入 茨城・取手の双葉地区 住民「人手足りない」

浸水で出た災害ごみを運び込む住民たち=6日午前11時23分、取手市内

台風や前線の影響による大雨で約600戸が浸水した茨城県取手市双葉地区で、災害ごみの搬入が本格化している。仮置き場には多数の水にぬれた家具や家電が次々と持ち込まれており、市は地区全体で約3千トンのごみの排出を見込む。ごみの中にはたんすなど、運び出すのに手間がかかる大型家具も多く、一部住民からは「人手が足りない」と嘆く声が上がった。

市は5日から同地区限定で災害ごみの受け入れを開始しており、6日は浸水で使えなくなった家具や家電を載せた車両が次々と仮置き場を訪れた。

自宅が床上浸水したという男性(53)は、リヤカーで冷蔵庫や畳、家具などを搬入。浸水でほとんどの家具家電が使い物にならなくなったといい、「全部駄目になった。踏ん切りをつけるしかないね」と肩を落とした。この日は20回以上にわたり、自宅と仮置き場を往復したが、たんすや本棚など大型家具の運び出しは終わっていないという。男性は「とにかくマンパワーが足りていないと思う」とこぼした。

別の男性(22)は食器や汚水を入れた袋などを運び込んだ。思い入れのある食器もあったが「臭いがすごく、そのままにしておけなかった。苦渋の選択だった」と語った。

仮置き場のごみは、守谷市野木崎の「常総環境センター」で処分される。同センターは6日から災害ごみの受け入れを開始。受け入れ期間については、取手市と協議して判断する方針。可燃ごみと不燃ごみで1日当たり最大計40トンの受け入れが可能。担当者は「浸水被害の地域が双葉地区の約600世帯と限定的だったこともあり、現時点でごみがあふれる可能性はない」としている。

一方、地区内には仮置き場に搬入されないままの災害ごみも点在。市は、人手不足や浸水で車が使えないことが背景にあるとみて、ボランティアなどと協力して回収を進める考え。7日には市商工会と市建設業協会の会員たちが同地区入りし、ボランティアでごみを回収する予定だ。

県は、災害ごみの仮置き場運用に必要な人材の派遣を検討中。県資源循環推進課によると、仮置き場ではごみ搬入車両の交通整理、分別作業の支援などの役割を担う予定という。早ければ8日にも人員を派遣し、状況に応じて、県や市と災害協定を結ぶ県産業資源循環協会から機材なども投入する。

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