長崎県内賃上げ1万603円 30年ぶり高水準 連合長崎が今春闘最終集計

 連合長崎は6日、今春闘の賃上げ集計結果を発表した。4日時点で交渉が妥結した加盟104組合の平均賃上げ額は1万603円(昨年同期比3415円増、定期昇給込み)で30年ぶりに1万円台に達した。賃上げ率は3.66%。
 連合長崎が発足した1990年の1万685円に迫る高水準。会社に要求を出したのは108組合。妥結組合のうち中小企業の62組合の平均賃上げ額も6814円(同比3472円増、定昇込み)に上昇し、賃上げ率は3.18%となった。公表は今期3回目で最終。
 連合長崎は「『人への投資』の観点から、大手企業の賃上げの流れが地方の中小企業にも引き継がれた」と評価。一方で依然、全国的には物価上昇分を下回っており、実質賃金はマイナスだとして「来年も賃上げを継続することが必要」としている。
 製造や流通、サービスなどの産業別組合UAゼンセン県支部の長岡英樹支部長(58)は「『自分の会社がこれほど要求に応えてくれるんだ』と驚いた組合員は多いようだ」と話す。各加盟組合は、賃上げの原資として活用できる国の助成金を会社側に紹介。例年は「会社に遠慮して」要求額を低く設定する組合もあったが、今回は総じて「強気」な姿勢が目立ったという。
 その背景について長岡支部長は「物価が上がり、『賃上げが必要』との意識が労使で一致した。多くの会社は『賃金が低いと人材確保に響く』と考えている。内部留保を多少出してでも期待に応えたいのでは」と分析する。
 ただ、福岡財務支局によると、賃上げ率は企業の規模が小さいほど低い傾向。中小企業の賃上げを後押ししようと、長崎財務事務所は5月25日、長崎商工会議所、長崎労働局と協力し初めて助成金の説明会を開いた。製造業の参加者は「定昇はできるが、ベア(ベースアップ)をする余裕まではないので、行政の支援があれば助かる」と話した。

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